言い方ひとつで人生が好転!? 驚きの「言い換え力」

暮らし

2018/2/1

『大人のための言い換え力(NHK出版新書)』(石黒圭/NHK出版)

 同じことを言っているのにあの人と自分とでは相手の反応がまるで違う、という不条理なことが世の中にはある。自分に人徳がないのか、はたまたキャラの違いかもしれないが、もしかしたらそれは「言い方」のせいかもしれない。そしてそれは、言い方を変える、つまり「言い換える」ことによって、相手に与える印象を改善できる。

 そんな「言い換え」の技術を詳しく教えてくれるのが『大人のための言い換え力(NHK出版新書)』(石黒圭/NHK出版)だ。

 本書の体系だった章立ては理解しやすく、また、目次を見るだけでも日本語の表現力の豊かさ、すなわち「言い換え」の奥深さを感じられるだろう。

第一章 知的に言い換える 「話し言葉→書き言葉」
第二章 わかりやすく言い換える 「難しい言葉→易しい言葉」
第三章 正確に言い換える 「一般語→専門語」
第四章 やわらかく言い換える 「下位語→上位語」
第五章 ダイレクトに言い換える 「間接表現→直接表現」
第六章 イメージ豊かに言い換える 「直接表現→感化表現」
第七章 素直に言い換える 「婉曲的な表現→率直な表現」
第八章 穏やかに言い換える 「不快な表現→丁寧な表現」
第九章 シンプルに言い換える 「冗長な表現→簡潔な表現」
第十章 言葉を尽くして言い換える 「物足りない表現→十全な表現」

 第一章と第二章、第三章と第四章というように2章ずつ対になっており、ある観点について2つの対立する方向性から解説している。例えば第七章と第八章は「言葉の丁寧さ」についての内容だが、第七章は「素直な表現」への、逆に第八章は「穏やかな表現」への言い換え方。要はハッキリ言うかオブラートに包むかというところだ。

 否定的な内容をストレートに言った場合、意図は通じやすいが、時に反感をかったり相手を傷つけたりする。例えば以下の例。

「そのパワーポイントのスライド、すごく見にくいんだけど」
「どうでもいい仕事にそんなに時間をかけないでほしい」

 素直なだけで悪気はないかもしれないが、こんな物言いばかりをしていたらコミュニケーションに支障をきたしそうだ。とはいえ、遠慮して遠回しな言い方では相手に伝わらないかもしれない。

「素直な表現」、つまり意図明示的で率直な表現のまま言い換えるなら、どうすればよいだろう。著者は「ポジティブな言い方」を提言している。

「そのパワーポイントのスライド、行間をもう少し空ければぐっと見やすくなるよ」
「ほかにお願いしたい仕事があるので、その仕事はちょっと急いでね」

 言い方ひとつで印象は変わるもの。それは表現が変わっただけでなく、表現が変わったことで、ものの見方が変わったことにもつながる。言葉がポジティブになれば、発想もポジティブになるのだそうだ。

 反対に「穏やかな表現」では、不快な表現から、相手の感情を害さない直接的でない表現への言い換えがレクチャーされる。例えば、「気の弱そうな人」は「優しそうな人」、「面接で親の職業を聞くなんて、どう考えてもおかしいでしょう」は「面接で親の職業を聞かれたことに強い違和感を覚えました」など。

 本書は、問題→解説の順で内容が展開されており、解きながら読み進むため「言い換え」の技術や発想が身につきやすい。例文が豊富なことも利点のひとつだ。言い方で損をするなんてもったいない。本書で一生モノの「言い換え力」を手に入れてみてはいかがだろう。ただし「言い換え」のベースにあるのは「(伝えるために)相手を思いやる心」であることもお忘れなく。

文=高橋輝実