弟は人殺しなのか―? 何気ない日常から一気に急転…入江亜季最新作はアイスランドが舞台の探偵活劇

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公開日:2018/2/3


御山 慧(みやま けい)は、クルマと話すことができる17歳。
両親の死後、アイスランドに住む祖父の家に居候中。

探偵の仕事をしながら気ままに暮らしていたが、日本に暮らす弟と連絡が取れなくなるところから、物語は動き出す。

胸騒ぎから一時帰国した慧が知ったのは、弟と暮らす叔父夫婦の死だった。
弟・三知嵩はどこへ。

そして現れる正体不明の男。聞かされたのは信じられないことだった。

ようやく三知嵩と再会するも、嘘をついているのか?
信じようとする慧だったが…

三知嵩に対して不快感を露わにするアイスランドの少女・リリヤ。
真実はどこに?

 主人公は17歳の少年・御山慧。クルマと話ができるという不思議な力を生かした探偵活劇としてまず本作は始まる。
 探偵といっても、探すのは犬や一目惚れの相手だったりで、どちらかというとお気楽な仕事だ。
 とはいえ、アイスランドの大自然を舞台に展開されるストーリーは透明感に溢れ、キャラクターやその台詞も含めて、本作の全てがとにかくスタイリッシュ。

 見目麗しく、クルマと話ができるのに、どうやら運転は下手な慧や、その祖父で、スケベジジイと呼ばれながらも女性を口説いてしまうジャック。
 彼らの何気ない日常をもっと見ていたい。そう思い始めた中盤から話は一気に急転してサスペンス調へ。

 日本で暮らす弟が人を殺したかもしれない。しかも、親代わりの叔父夫婦を??
 作品を覆う空気が一気に不穏なものになる変貌は見事だ。天真爛漫に見える弟・三知嵩の、垣間見える裏の顔が不気味な印象を残す。

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 慧がたどり着く真実はどこなのか?若き探偵の行く末を見守りたい。



北北西に曇と往け
レーベル:HARTA COMIX
出版社:KADOKAWA
著者:入江亜季
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(C)Irie Aki