入試改革は「OSの大転換」になる? 最強の子育てと勉強法で新社会を勝ち抜く

暮らし

2018/2/8

『不安な未来を生き抜く 最強の子育て』
(佐藤優、井戸まさえ:著/集英社)

 2020年、日本の大学入試が大きく変わる。一体どう変わるのか、少しでも不安をなくそうと書店には関連本が多く並ぶ。そんな中に登場した最新刊『不安な未来を生き抜く 最強の子育て』(佐藤優、井戸まさえ:著/集英社)は、大学入試が変わるからこそ一層重要になる「学びの極意」を伝授する刺激的な一冊だ。

 著者は外交、インテリジェンスから教育問題まであらゆる分野に精通した現代の知の巨人・佐藤優さんと、5児の母であり教育問題に強い関心を持つ元衆議院議員の井戸まさえさん。まさに入試改革の年に受験生となる子を持つ井戸さんならではの切迫した問いに、言葉を濁さず佐藤さんが直球で答える本書は、次から次へと大事なことが飛び出し、思わず傍線をひきながら読みたくなる一冊だ。

■入試改革が日本の将来を大きく変える!

 記述式の導入など具体的な入試の変更点につい目がいきがちだが、そもそも今回の入試改革は2017年に発表された新学習指導要領の下で進む教育改革の一環であり、小中高校でも学び方が変わる中で、その「基礎教育の出口」である大学入試が変わるということ。つまり高校までの学習の変化と連動しているわけで、この改革が成功すればいわば社会が「OSの大転換」を迎えるため、前世代は「旧OSの人」になってしまう。

「旧OS」とは心穏やかでないが、これによって知識偏重の詰め込み型ではなく、今後はアクティブ・ラーニングと呼ばれる問題解決に主体的に取り組む学習法が重視され、結果的に思考法や発想法が違う新世代が生まれることになる。AI化が進む未来の社会においては、知的総合力をつけた彼らこそが「より使える人材」となっていくかもしれない。
 だからこそ「(改革前に入学した)大学生、それから今30代くらいの人たちは、教育改革など自分には関係ないと思わずに、危機感を持ったほうがいい」と佐藤さん。教育改革がめざす人間像を理解し、意識して自分を変化させていくのは、旧世代にとっても時代にキャッチアップする上で大事な視点だろう。

■大人も学び続けることで「自分のOSバージョンアップ」を

 本書ではこのほか、「4技能(聞く・読む・書く・話す)、時代に勝てる語学力の身につけ方」として、英語外部テストの選び方から語学学習法まで細かに伝授するほか、「価値ある大学の選び方」「卒業後の人生を分ける、大学での学び方」と大学での学びそのものにも注目。大学は「教員」で選べ、浪人への注意点、大学の空気や情報に惑わされず真摯に学べ、SPI対策をすべきなど、保護者世代というより、むしろ現役高校生や大学生におすすめしたい内容も豊富だ。

 もちろん保護者世代に対しても「子どもの学力をグンと伸ばすための方法」として、親が努力できる勉強の習慣づけや環境の整え方、「教育とお金の問題」としてアルバイトは学びの機会損失、奨学金は極力借りるな、など教育費のシビアな考え方など、かなり具体的な情報を与えてくれるのが心強い。さらに「あなたの子どもはAI時代を生き残れるか」「自立できる子ども・できない子ども」と、これからの社会で親として子育てにどう向き合うべきか、根本的な部分をあらためて考えるきっかけを与えてくれるのも新鮮だ。

 対談の終わりに「子どもに期待するばかりではなく、私自身が新しい教育システムの中で本気で勉強したくなった」と語る井戸さん。佐藤さんは「ぜひ、勉強は続けてください」と答えている。確かに、OS変更は無理でも親自身が「自分バージョンアップ」にトライするのは大事かも。変化をしっかり意識することで、未来がちょっと楽しみになってくる。

文=荒井理恵