上司のYESを引き出すには昼休み前を狙え!? 孫正義の秘書が教えるコミュニケーション法

ビジネス

更新日:2018/4/28

『孫社長のYESを10秒で連発した 瞬速プレゼン』(三木雄信/すばる舎)

 職場でのプレゼンの意味をきちんと考えたことはあるだろうか。プレゼンとは「会議で事実や自分の意見、企画内容を相手に正しく伝えること」ではない。

 25歳でソフトバンク社長・孫正義の秘書を務めた三木雄信氏は著書『孫社長のYESを10秒で連発した 瞬速プレゼン』(すばる舎)でこう語る。「仕事でのコミュニケーションはすべて『プレゼン』である」と。この言葉の意味するところは、「プレゼンは、情報を伝えた上で、相手の承認や理解を得て、次のアクションを引き出すことである」ということだ。

 これが上手くできていない会社では、業務が滞りがちだという。それは、会社内での情報伝達に時間がかかりすぎて、かつその質も落ちてしまっているからだ。本書は、仕事で結果を出すために必要な「高速コミュニケーションスキル」を「上司とのコミュニケーション」という視点から解説している。

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■「情報」を制するものが「仕事」を制する

 著者によれば、「情報」は4種類に分けられるという。Data(データ)、Information(情報)、Knowledge(知識)、Wisdom(知恵)の4つだ。この情報の分類法を、筆者はこれらの頭文字をとって「DIKWモデル」と呼んでいる。この4つの情報は、付加価値の低い順にD<I<K<Wと並んでおり、付加価値が高ければ高いほどより上に立つ上司が欲する情報と考えられている。つまり、Dataは「平社員級」の情報でWisdomは「社長級」の情報というわけだ。

 この「DIKWモデル」を用いて相手の要望に的確に応えつつ、瞬時に「情報」を提供できれば、組織の中で上に立つ人を上手にコントロールして、自分のやりたい企画をどんどん通すことも夢ではなくなってくるだろう。

■上司とのコミュニケーションのタイミング

 どんな種類の情報を提供すればよいかがわかっても、どんなタイミングで情報を提供するかがわかっていないと上司からのYESはもらえない。つまり、上司とのコミュニケーションでもうひとつ大切なことは、話しかけるタイミングだ。そのベストなタイミングは「時間の切れ目」だ。出社したときや昼休みに入るとき、一日の業務時間の終わりなど、時間が一区切りするタイミングで上司に声をかけるのが得策だ。

 相手の組織内でのポジションが上であればあるほど、やるべきこと・考えるべきことも多いはず。そんな上司の頭の中では情報には常に「優先順位」がつけられている。そんなとき、遠慮がちに話しかけられては上司もイライラしてしまい、上司の中ではその情報の優先順位は下がってしまう。基本中の基本だが、相手の目を見て大きな声で話しかけることが大切だ。重要度が高いということが相手に伝わり、提案した企画が後回しにされることなく、その場でYESがもらえる確率も高くなる。

 本書には、著者とソフトバンク社長・孫正義とのやり取りに基づいた、仕事上でのコミュニケーションの極意が他にもたくさん用意されている。どんな会社・組織でも重要視されているコミュニケーションスキルを磨きたいあなたに本書をおすすめする。

文=ムラカミ ハヤト