自衛隊メンタル教官が教える、人間関係のストレス軽減テク

ライフスタイル

2018/2/13

『自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術(朝日新書)』(下園壮太/朝日新聞出版)

 日常的に、ぎすぎすした人間関係に疲弊している人も多いことだろう。国家間の対立から個人レベルの対人関係に至るまで、些細なことでイライラしたり、互いを悪く思ったりしてしまう雰囲気に社会全体が覆われている昨今。現代社会に蔓延する「漠然とした不安」は、他人に対してマウンティングしたり、足を引っ張ったりなどといった人間関係のトラブルを誘発しているのではないだろうか。そして、私たちの日常の一部となったインターネットにも、そのような負の連鎖を助長している側面がありそうだ。

 人間関係のストレスを抱え込んでしまう機会が増加しているこの世の中で、自分自身や大切な人を守るためには、それなりの「技術」を身につけなくてはなるまい。『自衛隊メンタル教官が教える 人間関係の疲れをとる技術(朝日新書)』(下園壮太/朝日新聞出版)では、陸上自衛隊で心理幹部として多くのカウンセリングを手掛ける著者が、大事故や自殺問題への支援で得た経験をもとに独自の理論を展開している。その気になる「技術」の内容を、ほんの一部ではあるが本稿でもご紹介したい。

■“ライフイベント”のストレスを正確に理解する

 生きていれば実にさまざまなことが起こる。進学、就職、結婚、出産、身内の死などの大きなことから、年中行事、引っ越し、人事異動など、小さなことまで。大きな出来事のあとは勿論のことだが、ご近所とのちょっとしたトラブルや、PTAの役員を引き受けたなどといったいわゆる日常的なことでも、実は私たちはエネルギーを消耗しているのだと著者は説く。

 なぜなら、それぞれの出来事には必ず「対人関係」が伴い、「感情」が刺激されるからだ。一つ一つの出来事は小さくても、それが積み重なれば大きな消耗となるため、自身にストレスがどの程度溜まっているかをしっかりと認識することは大切なのだ。本書には、ストレスの度合いをチェックできるリストも掲載されている。日常的に漠然とした疲れを感じている方は、自分の「ライフイベントのストレス」を計算してみてはいかがだろうか。

■自分のこころは自分で守る。「ありがとう瞑想」の効用

 著者が、人間関係で疲れているクライアントに話したり、講座の中で教えたりしている「ありがとう瞑想」という方法が本書では解説されている。

言い争いになった、腹が立ったなど、何か感情が大きく揺さぶられる出来事や場面に遭った時に、まずは可能な限り、その場、その対象から少し離れる。対象から離れたら、深呼吸を大きく2、3回行う。次に、普通の呼吸に戻すが、その呼吸に意識を向けてみるように努力する。すると、今あったホットな出来事が頭をめぐってくる。めぐってきた時に、「ありがとう」とつぶやくのだ。(227ページ)

 何が「ありがとう」なのか。それは、「感情」が自分自身を守るためにしっかりと機能して危険をお知らせしてくれたことに対しての「ありがとう」なのだ。

 ストレスに遭遇した際、ついつい「イライラなんて感じたくない、消えてしまえ」などと念じてしまいがちだが、上記の「ありがとう瞑想」のように、自分の感情を素直に受け入れることは結果的にストレス軽減につながると著者は説く。

 どう頑張っても避けることは不可能な対人の疲れ。人間関係で消耗して生産性の低い日々を送るなどという悲惨な状況は避けたいところ。現状の人間関係に不安を抱える人には、是非本書を手に取ってみてもらいたい。

文=K(稲)