「アイデアが出ない」人がやりがちな、超残念な方法

ビジネス

2018/2/23

『2軸思考』(木部智之/KADOKAWA)

■「枠」を作ればアイデアが出る

 仕事をする中で、アイデアを出さなければいけない場面はよくあります。
 私も多くのスタッフを見てきましたが、この「アイデアを出す」という作業が苦手な人は少なくありません。

 そうした人にありがちなのが、真っ白な状態から考え始めるパターンです。「真っ白な状態から始める」というのは一見よさそうに見えますが、アイデアを出すときにはいい方法とはいえません。

 人は、ゼロから何かを生み出すのは難しいもの。アイデアを出すときも、ゼロからだとどう考えたらいいのか、わからなくなります。

 そこでおすすめなのが、「枠を作る」方法です。
 まず枠を作り、その枠の中でアイデアを考えるようにすると、真っ白な状態から始めるときよりスピーディにアイデアを出すことができます。

 そして、そのほうが結果的にいいアイデアが出てきます。枠を作って考える範囲を限定すると、その枠内に思考を集中することができます。より深く考えられるようになるため、いいアイデアが出やすくなるのです。

 アイデアを出すというと、最近「デザインシンキング」という言葉をよく聞くかもしれません。
 デザインシンキングはまったく新しい革新的なアイデアを出す、つまりイノベーションを起こすことが目的です。

 しかし、普段私たちが仕事で直面している問題にイノベーションが必要なことはほとんどありません。ミラクルを狙っているのではなく、いま60点のものをどうやって70点にするか。そしてどうやって80点、90点、100点にするかが仕事の大半です。

 つまり、私たちが普段の仕事でアイデアを出すときは、枠を作ってロジカルにアイデアを出すほうが効果的なのです。

■「伝えたいこと」「聞きたいこと」で整理

 アイデアを出すときに作る「枠」というのは、いったいどのようなものなのですしょう。

 たとえば、人に何かを話す、プレゼンテーションするときに有効なのが「伝えたいこと」「聞きたいこと」という2つの枠です。これはプレゼンだけでなく報告などあらゆる場面で使えますので、ぜひ使ってみてください。


 あなたが、会社の新卒採用イベントで就職活動中の大学生にスピーチすることになったとします。このイベントは、いくつもの企業が参加しているオープンな新卒採用イベントです。社員代表として、プレゼンテーションの内容を考えなければなりません。

 このスピーチの内容を考えるときに、「伝えたいこと」「聞きたいこと」という枠を作ってアイデアを出すのです。

 何かを伝えるという行為は、聞き手があってこそ成立するものです。にもかかわらず、自分が話したいことばかりを話し、聞き手が聞きたかったのは実は違う話だった……という残念なプレゼンを私自身よく見てきました。

 それを避けるために、話し手として「伝えたいこと」と、聞き手の立場を想像して「聞きたいこと」を考える。そうすることで、できるだけ聞き手が望むプレゼンに近づけることができます。

 ただし、「聞きたいこと」は、自分が聞き手になったつもりで考えるので、あくまでも想像です。可能な場合は、聞き手もしくは聞き手に近い人に意見を聞くといいでしょう。

 何もない状態で「就職活動中の大学生へのスピーチ」の内容を考えると、簡単に行き詰まってしまうかもしれません。
 しかし、「伝えたいこと」「聞きたいこと」という枠を作れば、グッとアイデアが出しやすくなるはずです。

木部 智之(きべ ともゆき)
元日本IBMエグゼクティブ・プロジェクト・マネジャー。横浜国立大学大学院環境情報学府工学研究科修了。2002年に日本IBM にシステム・エンジニアとして入社。入社3年目にしてプロジェクト・マネジャーを経験。その後、2006年のプロジェクトでフィリピン人メンバーと一緒に仕事をする機会を得る。英語はもちろん、日本語も含めていくつもの言語を巧みに操り、かつ仕事も優秀な彼らに衝撃を受け、自分はグローバルに通用する人材なのかと自問自答した。それ以来、いちビジネスパーソンとして世界中どこでも通用するスキルを身につけることを追求してきた。2009年に役員のスタッフ職を経験し、2010年には最大級の大規模システム開発プロジェクトにアサインされ、中国の大連への赴任も経験。日本と大連で500人以上のチームをリードしてきた。プロジェクト内で自分のチームメンバーを育成するためにビジネススキル講座を始め、そのコンテンツは社内でも評判となった。著書に『仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?』『複雑な問題が一瞬でシンプルになる 2軸思考』(いずれもKADOKAWA)がある。