屋上から飛び降りようとしたJKを、ガチで口説く教師の禁断愛『墜落JKと廃人教師』

マンガ

公開日:2018/2/24

『墜落JKと廃人教師』(sora/白泉社)

 甘すぎる先生にときめく女子続出!の『まちがいごと』(朝海いるか/白泉社)に続き、『花とゆめ』が送り出す教師×生徒の恋シリーズ第2弾は『墜落JKと廃人教師』(sora/白泉社)。失恋の痛手に耐え切れず、屋上から飛び降りようとしていたクールで秀才だけど暴走しがちなJK・落合扇言(みこと)と、ニコチン中毒でクズっぷりが周知されている物理教師の灰葉 仁、通称廃人が織りなす禁断ラブコメだ。

 遅刻常習犯、個人情報は紛失しがち、机のなかにはエロ本、ニコチンが切れると妖精がみえる。生徒に舐められるのもむべなるかな、という灰葉だが、大人として教師としてクズなところがもうひとつ。生徒=扇言にガチ恋して、ややストーキング気味に彼女を口説くのだ。屋上で素知らぬ顔して、飛び降りかける彼女の隣で煙草を吸い始めたかと思いきや、最終的にのたまうことには「死ぬ前に俺と恋愛しない?」。女好きの戯言かと思いきや、その後も扇言が落ち込んでいたり困っていたりするタイミングで現れては心の穴を埋めてくれる。

 心配だからと家まで送って自宅を特定、扇言に他の男を近づかせないため生徒から文化祭演劇の主役の座を姑息に奪取。大人げない、という以前に、教師としての倫理はどうなっているのか問いただしたい言動だが、そもそも扇言が関わっていようといまいと灰葉は、まるで教師らしくない男。自由きままで、飄々ととらえどころのない彼の態度は、ガチガチにこりかたまった扇言の心を徐々に解きほぐしていく。弱っているときにあの手この手で迫られ特別扱いされては、好きになるなというほうが無茶だろう。しかも灰葉は、ただのクズに見せかけてどこか影があるのだから、気になってしかたがない。いつしか扇言も、失恋相手のことなど忘れて、灰葉のことばかり考えているのである。

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 扇言が飛び降りかけた屋上で、同じようなことをして過去に失敗した奴。不眠症を解決するため扇言がすすめた睡眠導入剤を、使って死のうと試みた奴。灰葉が“知っている”という過去の誰かは、あきらかに灰葉自身だ。いったいどんな道を、どんな感情を経て、クズキャラが身についたのか。なぜ教師としてふたたび「学校」という場に舞い戻ったのか。灰葉の過去が明かされていく今後の展開にも期待大だ。

 だがまずは、クールなツッコミを入れるJKと、へこたれずに彼女を口説き落とそうとするJK教師のかけあいを、ときめきながら楽しんでほしい。

文=立花もも