顔の見えない旦那様とのちょっと不思議な新婚物語『ねねね』が面白い!

マンガ

更新日:2018/3/26

『ねねね』(徒々野雫:原作、萩原ダイスケ:作画/スクウェア・エニックス)

「胸キュンできる少女マンガに日々の栄養や癒しをもらっています…!」という女性は多いのではないだろうか?

 三十路の筆者も毎晩のように布団に寝転びながら、スマホにダウンロードした少女マンガを読んでニヤニヤしている。

 現実は、仕事や恋愛も決して甘くはない。むしろ辛いことの方が断然多い。

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 せめてマンガの世界だけでも、お互いを想いあっている二人を見て、キュンキュンしながら至福の時間を過ごした~い! と願うのも、健全な欲求だと言えるだろう。

 そんな女性に、最高におススメのマンガがある。『ねねね』(徒々野雫:原作、萩原ダイスケ:作画/スクウェア・エニックス)だ。

 本書は、40手前で実は童貞の清(しん)と結婚した16歳の小雪の新婚物語なのだが、不思議な設定も相まって、とにかく愛くるしくてたまらない。

 物語の舞台は、昔の日本。16歳の小雪と、20以上年上の清の結婚式から幕を開ける。

 二人は家同士の繋がりのため結婚したのだが、清は家柄もよく秀才で優しい性格。あまり問題はないように思える。

 ただ一つ変わっているのは、清がいつも狐のお面で顔を隠していること――!

 なんでも清は、幼い頃から妖怪や妖精といった不思議なものが見える人間で、仕事柄、いつとり憑かれるかわからないため四六時中、顔を隠している。

 小雪はそんな清の素顔を知らないまま結婚したのだが、二人の新婚生活はなんともピュアで可愛らしいのだ。

 例えば、小雪の目下の悩みは、清に子供扱いされること。時には親子と間違われるほど、奥さんに見られない現実に小雪は落ち込む。

 そんなある日、清は怪我をした妖精に出会い、自宅で手当てをする。

 妖精は手当てをしてもらった後、帰り際、清の鼻に、挨拶代わりにちゅっと接吻するのだが、それを見た小雪は嫉妬。

 そこで、

「私にも…お礼…してください」

 と、勇気を振り絞って接吻をせがむ。

「一回だけだからな」とさっそく小雪に接吻しようとした清は、な、なんと……! お面の鼻を小雪の鼻に「ぷにゅん」と当ててしまい、接吻を失敗してしまうのだ。

 そもそも清が童貞であることを知らず「大人で落ち着いた人間」だと思いこんでいる小雪は、自分の積極的な行動を恥ずかしがり、思わず逃げてしまう。

 だが清は清で

「何!やってんだ!!俺は!!! 馬鹿なのか!?何流されてんだ俺! しかも仮面が当たるとかガキか!? 
あれでもよく考えたら俺この歳で童貞歴=年齢だった ガキだったあああ!!
心臓破裂するかと思った 今絶対やばい顔してる! 仮面あって良かった! 仮面万歳!!」

 と、一人密かに焦りまくっているのである。

 二人の新婚生活は、はじめてだらけの連続で、とても微笑ましい。

 お互いを誰よりも大切にしていて、「コウノトリ」が運んできた龍の卵を一緒に育てたり、忙しい合間を縫って「逢引き」したりする様子は、ほのぼのとしていて癒される。

 また意外と、16歳の小雪がグイグイ積極的で、事あるごとに清を真っ赤にさせているのも面白い。

 二人の純粋な気持ちに触れていると、誰かを想うことの尊さや温かさとは一体どういうものか、改めて教えられる気がする。

 胸キュンが止まらない素敵な物語だ。ぜひ読んでみてほしい。

文=さゆ