デート=ご飯。一緒にごはんを食べる時間から始まる恋と、豊かな人生の叶え方

恋愛・結婚

2018/3/2

『恋が生まれるご飯のために(幻冬舎文庫)』(はあちゅう/幻冬舎)

 恋の始まりのごはんは、誰にとっても胸が高鳴るもの。そして、恋を長続きさせるか、フェイドアウトさせるかの鍵も、案外「一緒にごはんを食べる」時間を、どう過ごすかで決まってくるのではないだろうか。本書『恋が生まれるご飯のために(幻冬舎文庫)』(はあちゅう/幻冬舎)は2015年刊の『かわいくおごられて気持ちよくおごる方法』(はあちゅう/幻冬舎)を改題し、文庫化したもの。

 本書で「恋愛は、楽しくご飯を食べられる相手を見つけること、そして結婚は、一生一緒にご飯を食べる約束だと思っています」と記す、はあちゅう氏による男心、女心の分析をはじめ、ご飯デートの心得など「一緒にご飯を食べること」へのトキメキや人生観がいっぱい詰まった恋愛バイブルである。

 本書でも“デート=ごはん”と明言するように、気になる女性を誘うには、ご飯からがセオリー。でも、たかが“ごはん”と気を抜くなかれ。「相手がご飯好きかどうかは、もうメールの段階でわかります。ご飯好きは、『お店、適当に決めておくね』なんて間違っても言わない」。と、はあちゅう氏も言うように、恋が育つかどうかの行方はお店選びから始まるものなのだから。

 とはいえ、「どんなふうに誘って良いかわからない」ご飯デートビギナーはまず、はあちゅう氏の手ほどきに沿って“はじめての食事への誘い方”から“口説くためのお店選び”へと順当に進めばよい。氏の指南する“女性がテンションが上がるポイント”はきめ細やかで、恋愛だけではなく、就活やデキる社会人の段取り力を学ぶ意味でもためになる。しかし大事なのはマニュアルではない。

“こういう会話を相手としたいから、今日はここでこれを食べよう”というように食事を介してみえる「その人自身」の心遣いやセンスに女性は触れたいのだから。また作家として両性具有の視点を持つ氏は、女性向けにも、“女性が誘うときのポイント”はじめ、セックスを許すタイミングや、かわいくおごられる方法など、具体的な事例や会話などで、友人のように教えてくれる。

まずは、自分が傷つかないためのクッションを持っておくこと。そして、引き際をよくすることです。

恋は無理やりに起こすものではなく自然に起こるもの。相手とご飯に行くのは、関係の入り口にはなるけれど、ゴールではありません。(中略)自分から断ったくせに、あっさり引き下がられたら、「もっと粘り強く誘ってくれればいいのに」などと思うこともあるし、そう思ったら、きっと向こうから誘ってくれるはず。

 はあちゅう氏の指南する恋愛アドバイスは等身大で、非常に的を射たものだと思うが、本書は底の浅いハウツーものではない。下記の文章にも見られるように、食事から恋愛、人生を洞察する上質なエッセイなのだ。

ご飯や恋愛は、「人生は無駄なものがあってこそ、面白い。むしろその無駄なものの中に醍醐味がある」という本質的なことを教えてくれているのです。

 恋の渦中にいる人も、トキメキを懐かしむ人も、一緒に食べることが一緒に生きることの始まりとなる「食事」の時間を、あらためて見直してみてはいかがだろう。

文=佳山桜子