おなかがギュルル~!ご飯の時間がもっと楽しくなる絵本『じかんだよー!』

文芸・カルチャー

公開日:2018/3/5

『じかんだよー!』(さいとうしのぶ/白泉社)

 ここは、とある森のカフェにあるキッチン。中には誰もいませんが、オーブンやフライパン、フライヤーなどがムクムクと湯気を立てています。お皿の上でプチトマトが「もうすぐ じかんだよー!」と声をあげると、オーブンから焼きたてのハンバーグが飛び出してきて…。『あっちゃんあがつく たべものあいうえお』でおなじみ、さいとうしのぶの最新絵本『じかんだよー!』(白泉社)は、食べ物を擬人化し、子どもたちが大好きな“お子さまランチ”ができあがるまでの様子を描いた絵本です。

 この本でまず子どもたちの気を引くのは、“食べ物たちの表情の愛らしさ”じゃないでしょうか。いたずらっ子っぽいカットきゅうりや、天真爛漫な雰囲気のエビフライなど、それぞれの性格がにじみ出ていて、眺めているだけでも面白いのです。絵本と遊ぶことに楽しみを覚えはじめた1歳半の我が子も夢中。愉快な食べ物たちの「やけたよー!」「おまたせー!」という元気いっぱいの声に合わせて本をゆらすと、いかにも楽しそうに床をバンバンと叩きながら、きゃっはっはっと勢い良く笑っています。

 本来は人の手でオーブンからお皿に盛られるハンバーグが、自分たちからお皿のほうにピョーンと飛び出す様子は、「食べて、食べて!」とでも言っているみたい。子どもたちは、ここに出てくる食べ物たちのことを好きになってしまうでしょうね。何より、このキッチンで作られているのが、お子さまランチであることもポイント。ワンプレートの上に、主役級の料理がいくつものって、お旗が立って、しかもデザートつき! なんて楽しい食事でしょうか。これは子どもたちも好きになるわけだと、親として実感しました。

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 ホカホカの食べ物を前にすると、ほっこり幸せな気分になりますよね。もしも、食べ物たちが動き出したりしたら、楽しみも加わって。1日に何度もする食事だからこそ、子どもたちにもっと楽しんで味わってほしい。この本を読んだ後は、食事の時に「オムライスさんが来たよ〜!」「エビフライくん登場!」と話しかけてあげたくなります。

文=吉田有希

>>絵本『じかんだよー!』の手づくりおもちゃ「お子さまランチ」の作り方