過度の不安はこれで解消! 即効「クイック・マインドフルネス・テクニック」とは?

暮らし

更新日:2021/6/28

『"理由のない不安"を一瞬で消す方法』(高牟禮憲司/主婦の友社)

 進学、就職、転職、結婚、離婚…人生には様々な岐路がある。喜ばしいことがある反面、将来どうなってしまうのか心配になる時だってある。自分を取り巻く環境や対人関係に感じてしまう“極度の不安”。なんとか和らげるスキルはないだろうか。

『"理由のない不安"を一瞬で消す方法』(高牟禮憲司/主婦の友社)は、「心の体質改善」を行いながら、マインドフルネスを応用したテクニックで「心のバランスを整え不安を解消していく方法」を伝授する1冊。

 誤解がないよう補足しておくが、不安の全てが悪いというわけではない。著者も述べているのだが、不安を感じるからこそ、無謀な行動をしない、危険から身を守るなど、何らかのリスクから回避できていることも確かだ。著者が問題にしているのは、心の余裕を失くしてしまうような「過度の不安」についてである。

advertisement

 どうして「強すぎる不安」に支配されてしまうことが起きるのか。著者は「心のクセ」が関係するのだと説明する。「心のクセ」とは「子どもの頃の体験的な学びを通して身につけた、自分自身や他人に対しての固有の感じ方」だという。例えば、幼少の頃に強く叱られた、バカにされたといったような「つらい過去の記憶」や、自分に近しい周囲の人間の「当たり前」や「常識」が無意識に刷り込まれた結果、物事の感じ方を決定づけ「心のクセ」として残り続けるそうだ。

 もう一つ、著者は「セルフイメージの低さ」も挙げている。これは将来に対する不安にも大きな影響を与えるという。ここでいうセルフイメージとは、経験の有無よりも自分の感覚として“できる”“できない”の「能力」への認知度と、対人関係で培ってきた「人間関係力」の2つに表れるとのこと。例えば「人間関係力」が低いと、人に懐疑的になったり、嫌われていると思い込んだりするそうだ。そこで、思考を改める「心の体質改善」が必要になってくる。その第一歩は不安を「見える化」「仕分け」することが重要であること、そしてどのように「心のクセ」の刷新と「セルフイメージ」の修復を図っていけばいいのかということを、平易で理解しやすい解説と実例を挟みながら、本書は展開していく。

 また、考え方を変えていくコツとともに、本書は「クイック・マインドフルネス・テクニック」を提案している。不安を感じるときに自分の手で拳を作り、握る力の強弱で感じる「触覚の感度」を観察することで心の負担を軽くする方法である。詳細は本書で確認してほしいが、この方法ならば手軽にいつでもどこでもできそうだ。

 普通「マインドフルネス」とは呼吸に集中することに重きが置かれるが、不安への対処としては「クイック・マインドフルネス・テクニック」のほうが向くと著者は語る。

呼吸に伴う触覚が不安と比べて弱すぎるので埋もれてしまい、観察することが難しくなるからです。「クイック・マインドフルネス・テクニック」と「呼吸を用いるマインドフルネス・テクニック」の大きな違いは、「拳をしっかり握りしめる」ことで強い触覚をつくり出すことです。したがって、不安が強くても強い触覚があるので、ラクに観察できます。強い感情があってもマインドフルな状態を維持しやすく、冷静に対処できるようになるのです。

 第4章以降では仕事や人間関係、恋愛、結婚、子育て、健康などの項目ごとに不安の具体例が書かれてあり、不安を減らす考え方、章のテーマに応じた拳でできる即効性があるテクニックを紹介。さらに乗り物などで感じる「パニック発作」についても第7章で対処法が示されている。

 著者である高牟禮氏は、これまで2万件のカウンセリング経験を持つ心理カウンセラー。かつて、エンジニア職であった著者は、激務により心身を崩して休職に追い込まれた過去があるそうだ。その時の自らの回復のために様々な療法を学び、不安を感じた際に一人でもすぐにできる対処法を考案、実践してきた。

 春先は新たな環境やステージに進む人も多く、期待と不安が入り混じる時期。本書が不安解消のきっかけになれば幸いである。

文=小林みさえ

もっと詳しく:Googleも研修として取り入れる「瞑想」「マインドフルネス」の効果・メリットとは? 習慣づける方法【保存版】