人工知能のカラクリは数学? ―「人工知能の数学」をゼロから学べる参考書

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公開日:2018/3/8

『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(石川聡彦/KADOKAWA)

 人工知能は数学でできている―こう聞いて、人工知能と数学にいったいどのような関係があるのか、疑問に思った読者もいらっしゃるのではないでしょうか。この疑問に答える、『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』が、KADOKAWAより2018年2月24日(土)に発売されました。

 まず、現在「人工知能」と呼ばれている技術のなかで注目されている領域は、「機械学習」です。機械学習自体は古くから存在しましたが、近年、テクノロジーの進化によって活用の幅が広がり、現在の人工知能ブームが訪れたと言えます。機械学習は、大量で複雑なデータに対して膨大な数値計算を行い、モデルを生成します。このモデルとは、例えば「ネコとイヌの大量の画像で学習させたモデルが、ネコかイヌかどうか判定できるようになる」など、過去のデータから未知のデータを予測するものを指します。

 この機械学習の「キモ」であるモデルの生成するための計算において、微分、線形代数、確率・統計などが重要な役割を果たすのです。自動車の仕組みに詳しくなくても自動車を運転できるように、数学を使わないで人工知能を扱う方法もたくさんありますが、モデルの精度を上げたり、チューニングしたりするためには、数学の知識が必要になることがしばしばです。

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 本書は、高校数学のキホンからていねいに学習することで、初めて大学レベルの数学を学ぶ方や、数学に触れるのが久しぶりの方でも学びやすいようになっています。人工知能に特化した分野のみを扱ったり、各所で人工知能アルゴリズムの知識も補足したりしているため、効率的に深く学習できることが特長です。
 さらに、『人工知能は人間を超えるか ―ディープラーニングの先にあるもの』などの著作があり、日本の人工知能研究を牽引している東京大学特任准教授の松尾豊氏が本書を推薦しています。松尾豊氏からは「人工知能はこれからの社会の基礎的な教養です」と、コメントも添えられています。

 本書は、実際にプログラミングを行う方向けの専門書であり、一般読者には少しハードルが高いでしょう。ただ、「人工知能を使いこなすには、数学の知識が重要であること」を知っておいて、損はないのではないでしょうか。

 今後、人工知能は進化し続け、さらに社会に普及していくでしょう。まさに「人工知能が基礎的な教養」となっていく時代、あなたの未来を変えるのは数学かもしれません。