「ぶりぶりぶ~!」で大爆笑!『えがないえほん』がウケる理由を検証してみた

出産・子育て

2018/3/11

『えがないえほん』(B・J・ノヴァク:作、大友剛:訳/早川書房)

「最近口にした、一番くだらない言葉はなんだろう」——本書『えがないえほん』(B・J・ノヴァク:作、大友剛:訳/早川書房)を開く前には、ぜひこんな疑問を自身の胸に問いかけてみてほしい。子どもが喜ぶバカウケ本は大人の心もくすぐる、一風変わった絵本だった。

 絵本といえば、カラフルなイラストが描かれているのが一般的だ。しかし、書籍タイトルにもあるように、本書にはイラストが一切なく、文字のみが記されている。そこで、実際に子どもに読み聞かせを行い、本書の魅力を検証してみた。

 ページをめくると並んでいたのは、「おしりブーブー」や「ぶりぶりぶ~!」という擬音語、「ぼくのあたまのなかみはなっとうのみそしる」といった意味不明な言葉の数々だった。しかし、こうした言葉こそ子どもの心に強く響くようで、真顔で読んでみても大爆笑を得ることができた。笑う子どもの顔を見ているうちに、読み手も大人も童心に返ることができるという本書の醍醐味に気づいた。

 小難しい顔をして仕事や家事をこなしている私たち大人も、もともとはみんな子どもだった。とびっきりお下品な言葉や中身がまったくない擬音語をたくさん口に出しながら成長してきたはずなのに、大人という立場になった途端、目の前にいる子どもについ「しっかりしなさい」や「そんな言葉は言っちゃだめ」などと注意をしてしまうことも多い。

 けれど、大人にとって意味のない言葉こそ、子どもとのコミュニケーションに活かせるのではないだろうか。だからこそ、大人も本書に記されているような、とびっきりくだらなくてお下品な言葉を積極的に口に出してみてもよいのかもしれない。子どもとの会話はきっと、中身の深さではなく、共有する時間の楽しさで濃さが決まっていくのだ。

 また、本書を読み聞かせた後、どこがおもしろかったのかを実際に子どもに尋ねてみると「いつも言わないようなことを言ってくれたところが楽しかった」と答えてくれた。どうやら、子どもの視点からしてみると、一番身近にいる大人が大真面目にふざけている様子がツボだったようだ。さらに、本書に詰め込まれていた言葉は年齢という壁も取っ払ってくれたようで、「友達と話しているみたいで楽しかった」という感想を引き出すことができた。

 こうした感想を得るには、読み手側の努力が必要不可欠だ。子どものツボを刺激するために、ギャップを見せることも重要なようなので、読み聞かせる際はぜひ、普段の自分とは違ったキャラクターに成りきって、全力で大真面目にくだらない言葉を発してみてほしい。

 大人になると、自分が子ども時代にどんな言葉で笑い、どれだけ意味のない単語を口にしてきたのかを忘れてしまうものだ。鼻歌交じりで奏でた自作のオリジナルソングも、年を重ねるにつれて口ずさまなくなっていく。本書は、そうなってしまった世の中全ての大人にあの頃の自分を思い起こさせてもくれるだろう。カチカチになった顔や心をほぐすためには、大人こそ「おしりブーブー」と叫んでみる無邪気さが必要なのかもしれない。

文=古川諭香