大ざっぱでも面倒くさがり屋でも大丈夫! 心がほぐれる豊かな暮らしとは?

暮らし

2018/3/10

『丁寧に暮らしている暇はないけれど。時間をかけずに日々を豊かに楽しむ知恵』(一田憲子/SBクリエイティブ)

 休日の過ごし方。整然としたリビングでくつろぎ、広々とした美しいキッチンでスペシャルメニューに挑戦!…というのは理想の話。連日仕事優先・家事は最低限でテキトーな日常では、休みは専ら掃除や片づけが集中、来週分の食料のまとめ買いにも行かなくては。ああ、この家事のしわ寄せをなんとかしたい。そしてできるだけ“時間をかけずに”と思っている人も多いのでは?

『丁寧に暮らしている暇はないけれど。時間をかけずに日々を豊かに楽しむ知恵』(一田憲子/SBクリエイティブ)の著者は、心地よくナチュラルな暮らしを提案する雑誌『暮らしのおへそ』の編集ディレクター。取材を通じて様々な“暮らしの達人たち”から学んだ知恵や発想を、自らの「住・食・衣」の暮らしで実践し、働きながらでも続けることができた、家事のアイデア41編が綴られているフォトエッセイだ。

 著者は自分を「大ざっぱで面倒くさがり」と評する。掃除機は「四角い部屋を丸くかけておしまい」で、ガス台に汚れがこびつかないための拭き掃除も「“使うたびに拭く”という習慣は、私には無理、とあきらめた!」などのエピソードから「掃除が大の苦手」なのが容易にうかがい知れる。しかし、それは過去のお話。

 取材の際に暮らしの達人から聞いた“掃除は毎日、ただし30分以内ですませる”をさっそく実践した著者。当初こそ難しかったものの、日が経つにつれ掃除しやすい部屋に整い、家の掃除が「どんどんラク」になっていったそう。実は“毎日”“30分”の両方を守ることが、続けるのに大事なコツ。当然、今も続いている。

 もう一方のキッチンの掃除には“使うたびに拭く”をあきらめた代わりに“消毒用エタノール”を導入。スプレー式を常備しておき、サボって溜まった油とホコリの混ざり汚れにシュッ、サッとひと拭き。これで汚れを「なかったことに」できるそうだ。消毒用エタノールは揮発性に富み、2度拭きいらず、しかも冷蔵庫掃除にもOK。ズボラには大変ありがたいアイテムだ。

 ところでなぜ、著者は掃除や他の家事を続けられるようになったのだろう。「きれい好きの人」と「ズボラの人」の違いについて述べたあと、言及している。

きれい好きの人は、「気がついたときに」掃除ができます。でも、ズボラな人は、「決めごと」をしないと「キレイ」をキープできないのです。さらにどんなに「決めごと」をしても、それを「意志」や「やる気」で続けようとしても無理!唯一の方法が、暮らしの中で無意識に続けられる「流れ」に組み込むこと。それが、自分にとって自然な流れであれば、「できない」が「できる」にくるりとひっくり返ります。

 そう、日ごろの暮らしの自然な「流れ」で動くことがポイントなのだ。例えば、シーツ洗いの「ついで」にベッド周辺も掃除してしまうような“ついでの組み合わせ探し”や、寝る前にスポンジを干し、排水口トラップとごみ受けも乾かす“ヌメリ予防対策”など具体例が続々登場。汚れを蓄積させない掃除のバリエーションも豊富だ。しかも最小限の行動で家事の時短にも繋がっている。

 他にも愛着がある住まいを中心に、収納、食事とおやつ、着こなし、健康維持、家計管理など、ここでは語りつくせない暮らしのヒントが著者の自宅での実例写真とともに紹介されている。どれも著者が試して続けているものばかりだ。

 また、知恵やアイデアだけではなく、よりよい暮らしにも触れている。

「丁寧に暮らさなきゃ」とあせるより、「丁寧」の先にある「おいしい」「楽しい」「気持ちいい」という体験をより多く重ねることで、暮らしはぐんと豊かになります。

 著者と暮らしの達人に助けてもらいながら“丁寧の先にある幸せ”を目指せば、あの家事のしわ寄せをだいぶ平らにできるかも。そして工夫次第で居心地いい部屋が手に入れば最高だ。新たな季節、本書を自分の暮らしに役立ててみよう。

文=小林みさえ