「自分が利口だと思いますか?」と聞かれたら、あなたはなんと答えますか?

暮らし

2018/3/19

『オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題 「あなたは自分を利口だと思いますか?」(河出文庫)』(ジョン・ファーンドン:著、小田島恒志・小田島則子:訳/河出書房新社)

 オックスフォード大学やケンブリッジ大学といえば、世界に名だたるイギリスの名門大学だ。そんな大学の入試問題は、少々変わっているらしい。難問というより奇問の域に入るような問題ばかりを集めてみたのが本書『オックスフォード&ケンブリッジ大学 世界一「考えさせられる」入試問題 「あなたは自分を利口だと思いますか?」(河出文庫)』(ジョン・ファーンドン:著、小田島恒志・小田島則子:訳/河出書房新社)だ。

 タイトルの一部である「あなたは自分を利口だと思いますか?」も、実際にケンブリッジ大学で出された問題である。それも法学の分野で。あなたならこの問題にどう答えるだろう。ここで日本的美徳の謙虚は通用するだろうか。相手は超名門のケンブリッジ大学、利口でない学生などほしいはずがない。かといって「はい」などと答えれば、自分は馬鹿であると言っているようなもの。なぜなら、面接官はそのポジションからして受験者より利口である可能性が高いからである。それに、自分が利口であると確信しきっている人はふつう賢明ではないことが多い。

 本書は解答付き問題集なので、著者が考えた解答が載ってはいる。だが、その答えが正しい、いや、最適かどうかはわからない。なぜなら、問題自体がひとつの解を求めるようなものではないからだ。

 例えば本書にあるのはこんな問題である。

・過去に戻れるとしたらいつにしますか、またそれはなぜですか?(オックスフォード大学、法学)
・自分の腎臓を売ってもいいでしょうか?(ケンブリッジ大学、医学)
・歴史は次の戦争を止め得るでしょうか?(ケンブリッジ大学、歴史学)
・誠実は法律のどこにおさまるでしょうか?(ケンブリッジ大学、法学)
・幸せだ、ということはどういうことですか?(オックスフォード大学、哲学、現代言語学)
・運命とは何ですか?(オックスフォード大学、古典学、英語英文学)
・あなたならリンゴをどう説明しますか?(ケンブリッジ大学、社会学、政治学)
・カタツムリに意識はあるでしょうか?(オックスフォード大学、実験心理学)
・なぜ世界政府はないのでしょうか?(オックスフォード大学、哲学、政治学、経済学)
・自分がカリフォルニアにいない場合、カリフォルニアが存在していることをどのように知りますか?(オックスフォード大学、地理学)
・人はいつ死んだことになりますか?(オックスフォード大学、医学)
・地球には人が余計にいるでしょうか?(オックスフォード大学、人文科学)

 このような問題に解答の秘訣はないという。この類の問題にいつも取り組んでいるジャーナリストたちによれば、要は「水平思考」なのだそうだ。水平思考とは、その言述を利用して、斬新で、どうかするとそれとはまるで関係ないアイデアを創出する考え方である。

 しかしここで取り上げた質問はただ「水平思考」をすればいいというものでもない、と著者は加える。こうした質問に答えるときのカギは一瞬立ち止まって質問の意味を考える、あるいは、その質問の意図が本当はどこにあるのかを考えることだ、と。そうすればおもしろい答えにたどりつくことができる。

 人生を豊かにするものはいくつかあるが、「質問」や「問い」もそのひとつと私は考える。問いを通して世界にふれるからだ。逆にいえば、どんな問いに遭遇するかで人生の幅が変わることもあるだろう。現実に直面している問題や本当の入試問題では少々しんどいが、たまにはこんな異世界の質問で頭を遊ばせてみるのもよいのではないだろうか。

文=高橋輝実