翌日・当日に届く「アマゾン」の秘密は“物流”にアリ!?

社会

2018/3/22

『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』(林部健二/プチ・レトル)

 ネット通販には良いイメージを持っていなかった。クレジット情報が流出する、代金を振り込んだが商品が届かない、つい買いすぎてしまう、など巷に流れる悪い噂。そして、初回手続きの面倒くささから「買うならお店で!」というスタンスを貫いていた。

 しかし、今ではネット通販のアマゾンで仕事用のパソコンや一眼レフカメラ、書籍、日用品まで買うようになった。そのきっかけが、本稿のテーマである「アマゾン」だ。プライム会員となれば、対象商品が翌日に届くという感動は一度体験すれば病みつきになる。それだけではない。最近では注文したその日に商品が届くことも。さらに、ドラマやアニメなどの無料動画、音楽が楽しめるなど一石二鳥にも三鳥にもなるプライム会員。「なぜもっと早く、アマゾンを利用しなかったのか」と後悔の念すら感じてしまうほどだ。

 次々と新たなサービスを打ち出すアマゾン。そんなアマゾンで働いていた著者が知られざる内幕について綴った一冊が『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』(林部健二/プチ・レトル)だ。本稿では、書籍で紹介されている、ネット通販の雄・アマゾンの物流の秘密を一部紹介したい。

 突然だが、アマゾンの企業理念の一つに「地球上で最もお客様を大切にできる企業であること」というものがある。小売店や百貨店であれば、店舗の清掃を欠かさない、お客様への挨拶を徹底する、豊富な商品知識を勉強するなど、店でお客とスタッフの直接的な接点があり、ここが顧客満足度につながる。

 しかし、アマゾンは店舗を持たない。顧客との直接的な接点といえば商品の配達のみだ。つまり、素早く手元に届く「配送スピード」と、間違いなく、傷の無い状態で届く「品質」が顧客満足度を決めるカギとなる。この二つのレベルをいかに上げるか、アマゾンはこの“物流”に力と資金を注いでいるという。

 商品を素早く、正確に届けるために、アマゾンは倉庫の作業効率を徹底的にアップさせる。倉庫管理への優秀な人材の投入、ハイテク機器の絶え間ない導入などを行い、作業効率をアップさせると、それを商品の価格に還元。さらに商品が売れるという好循環を生み出した。

 従来の倉庫の概念で考えると、アマゾンほど倉庫に設備投資するのは異常。そもそも、営業・商品開発部門などは会社に直接利益をもたらす部門として位置づけられ、投資も行われる。だが、倉庫をはじめとする物流は、いかにコストカットができるか、と考えられる部門だった。アマゾンの物流戦略は、倉庫に対する古い考えを打ち破り、見事成功を収めたというわけだ。

 また、アマゾンはより安い、より好条件を提示する取引先と契約を結ぶ。当たり前のことかもしれないが、日本の企業は「お得意様」「古くからの付き合い」だからと、縁で取引を続ける会社が多いという。実際に、ヤマト・佐川・日通といった配送業者と取引する際は、配送業者同士で価格などを競わせ、ランク付けに応じて取引する仕事量を決めている。

 他にも、アマゾンが独自に開発した需要予測システムや仕事に対するマインド、アマゾン流ロジカル経営など、内部にいた著者だからこそわかる、様々な秘密が紹介されている。なぜアマゾンが成功できたのか。その一因がわかるはずだ。

文=冴島友貴