「不動産収入で遊んで暮らしたい」はダメ!? 不動産投資で人生を豊かにする方法

暮らし

2018/3/27

『不動産投資の嘘と真実』(辰岡泰文・杉本桂一/幻冬舎)

 TVコマーシャルでアパート経営を薦める時代、「自分には縁がない」などと思わずに一度勉強してみる価値は大いにある。なぜならば、人生のリスク軽減、ライフプランの実現、老後の資金確保など、不動産投資が重要な手段であることは間違いないからだ。

 本書『不動産投資の嘘と真実』(辰岡泰文・杉本桂一/幻冬舎)を読めば、不動産投資が何かが良くわかる。著者は「不動産投資で不労所得を得たい、と考えるのは失敗の元で、不動産投資を事業として捉え、しっかりとした事業計画を描くことこそが成功をもたらす」と説く。最近のシェアハウス投資騒動などは、これと真逆に、不動産業者の薦める魅力満載の提案に乗っかったツケなのだ、と見えてくる。

 著者はこの事業計画の目的をキャッシュフローに置くべきだという。キャッシュフローとは、賃料収入から経費、借入金の返済、所得税を引いた手残りのこと。経費は、管理・清掃費、保険料、修繕費、固定資産税など多岐にわたる。また不動産投資の魅力である融資の利用による資産形成を実現するためには、借入金の総額や利息を考えること。そして所得税は、建物の耐用年数の期間、減価償却として利益を圧縮できる税制メリットを享受すべきだという。このような多数の項目をやりくりしてようやく手にするキャッシュが算出される。ぜひ、掲載されている事業計画書を参考にしていただきたい。

 このキャッシュ創出の視点から、‘王道’とされる新築区分マンション、中古区分マンション、木造一棟アパート、RC(鉄筋コンクリート造り)一棟マンションの投資にも問題点が多いことを著者は指摘する。新築区分マンションは、売価が原価の倍だというし、中古区分マンションは、介在する業者の手玉にされる事例が挙げられている。木造一棟アパートは耐用年数が短いし、RC(鉄筋コンクリート造り)一棟は本体コストが高いので利回りが相対的に低い、などと述べる。

 著者の説く勝ちパターンとは「主要駅まで電車で10分、かつ駅から徒歩10分以内」、「重量鉄骨造の新築」、「8%以上の利回り」の物件。これらの条件を兼ね備えていれば、長期的な賃料収入が確保できて空室が出ることも少ないうえ、広告宣伝費や原状回復費用を抑えられるのだという。そして、著者によると、居住性と法的耐用年数の面でコストとメリットがバランスしている、重量鉄骨造の物件がおススメなのだそう。

 しかしながら、条件を満たすいわゆる‘お宝’物件は素人の目に触れることはなく、入手するには業者との関係作りが欠かせないとのこと。また不動産投資家として信用を得るためにも、年収1千万、貯蓄1千万円以上の資金が参入の条件だと著者は考える。低くはないハードルだが、起業を考えている人にとって、一個人が自分の覚悟だけで事業家になれる選択肢のひとつだ。若手は信用と資金を得てから、すでに条件を満たしている人はまず本書を手に取り、一考してみたらいかがだろうか。挑戦しない理由はないように思えてくる。

文=八田智明