面倒を省いた“引き算”の家事で忙しい毎日がラクになる!

暮らし

公開日:2018/3/27

『ひとり暮らしのシンプル家事』(阿部絢子/海竜社)

 すっかりあたたかくなり、季節は春。新しい環境に身を置く人も多いのではないでしょうか。なかでも大学入学や入社をきっかけに、この春からひとり暮らしを始める人もいるでしょう。

 慣れない家事を1人で取り仕切るのは、なかなかプレッシャーを感じている人もいるのではないでしょうか? そんな人や、また、「ひとり暮らしなんてもう慣れた」という人の毎日を応援する1冊が『ひとり暮らしのシンプル家事』(阿部絢子/海竜社)です。

 この本で紹介される家事のノウハウは、いわば「引き算の家事」。たくさんの道具を備えて使いこなすのではなく、家事の工程を簡略化し、必要なことを習慣にしていくことが必要だと説いています。

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 著者の阿部絢子さんはこれまでも料理を始め、生活全般にわたる豊富な知識とアドバイスを発信し続けてきた生活研究家。もともとは面倒くさがりと自称している阿部さんの、ムダや面倒を省きながら簡単・快適に暮らしを変えていく方法が紹介されています。

 キーワードは「短時間」と「小分け」。平日は忙しくて掃除は週末にやる…という人は多いはず。しかし、そのような「まとめ家事」は、貴重な週末の時間と体力を思いの外消耗することになるのだそう。

 大切なのは一度に完璧に仕上げるのではなく、短時間でできる簡単な作業を1日の生活に組み込むこと。著者は、1つの家事をするには5分の小分けにするといいと言う。小分けにすればその箇所の家事だけ考えればいいから気軽にしやすいし、また、小さく家事を分けることで気分的にも楽になるという効果もあるそうです。

 また、何かしようと思ったら3分以内にアクションを起こすことも著者は勧めています。たとえば夕食後の片付けをひとやすみしてからやろうとしているうちに面倒になってしまうこと、ありますよね。しなくてはならない家事をワンクッション置いてからしようとすると、さらに億劫だという気持ちになっていき、ますます時間がかかってしまいます。

 掃除に関する項目では、「ここだけは綺麗にしておきたいというところだけ掃除をしていく」という思い切ったアドバイスをしてくれます。

 汚れにはホコリ汚れ、油汚れ、水垢の汚れがあります。どれも人が暮らしていくうちに自然と発生するものですが、特にホコリ汚れは、服の繊維ですらも発生源なので、除かなくては毎日積もっていくものです。そのため、テーブル回りやテレビ周辺など、場所を決めて短時間で取り除くことで、くつろぎの空間を快適な空間に保つことができるのです。

 油汚れは、当然キッチン周辺で目立つ汚れです。たとえばただ食品を温めるだけの電子レンジでも、蒸気と一緒に食品の油分が飛び、いつの間にか中はべっとりと落ちにくい汚れがこびりつきがち。電子レンジを使ったあと、まだ熱が残っている状態のレンジをクロスで磨くのがおすすめ。冷たい状態で力を込めて磨くよりも、熱のおかげで柔らくなった汚れを落とすことができるとか。

 水回りの水垢汚れも同様です。無色透明な水道水には、微量のカルシウム、マグネシウムが含まれています。水分が蒸発しても、それらは蓄積するため、気がつくと、シンクがぼんやりと白く曇っていきます。これが水垢の原因になります。だから、水回りは汚れてから磨くのではなく、汚れがたまらないようにすること。スクィージーやマイクロファイバークロスを使うと、時間も手間もかからず水滴を取り除くことができます。

 初めてのひとり暮らし、色んな道具を用意したり、1から10までこなそうとしたりと、計画倒れになりがち。この本のアドバイスのように、完璧を目指さず肩の力を抜いた家事なら、毎日続けられ、心地よい空間を作れそうです。

文=音田アユム