レシピに頼りすぎてない!? 冷蔵庫にある旬の食材をおいしく食べる調理法
更新日:2018/4/16
料理をする時、レシピを見て材料を揃え、またレシピを見て計量しながら進めていく。たまにしか料理をしない人や初めて料理をする人なら、そうやって正確さを重視して作るのもありかもしれない。しかしいつまでもそれでは楽しくないし、レシピ通りにしか作れない。レシピは1つのたとえであって、基礎なのだ。そうではなくて、冷蔵庫を見てあり合わせのものを使って目分量で作れるようになるには、食材を見て自分で判断できる力が必要になってくる。
明確な答えがない分、難しく感じるかもしれないが、コツさえ掴んでしまえば、むしろレシピを見ないで作れた方が簡単だし、気負わずに料理ができるようになる。では一体、どんなコツが必要なのか。それを分かりやすく説明してくれている、『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』(有元葉子/SBクリエイティブ)という本が出版された。
本書は、レシピ本も多数出している大人気の料理家・有元葉子さんが、素材を大事にすることで料理を美味しくする方法を分かりやすく記している本。レシピ本というよりは、コツをまとめた指南書のような本だ。
まず、野菜を扱う際にもっとも大事なことは、野菜に水分をたっぷりと含ませること。買ってきた状態の野菜は、収穫から時間が経っていて、水分不足である場合が多い。水分不足の状態で野菜を調理すると、べちゃっとなったり焦げたりして、美味しく仕上がらないとのこと。冷水に漬けて水分を十分に吸わせた野菜は、調理しても瑞々しさを失わず、野菜本来の旨みや甘みをしっかりと感じることができるのだとか。逆に、魚や鶏肉は、塩をまぶして余分な水分を抜くひと手間を加えることで、格段に美味しくなる。臭みが抜け、身が引き締まるのだそう。
そして、調理においてもう1つ、非常に重要なことがある。火加減だ。例えば、水分の少ないものや厚みのあるものを揚げる時には低温~中温でじっくりと、水分が多く火が通りやすいものは高温でさっと揚げるのがいい。また、かたまり肉は、表面を焼いたら火を止め、アルミホイルで包んで余熱で火を通す。このように、どうやって、どのくらい火を通すのが美味しいのかを知っておくと、ただ炒めただけ、焼いただけの食材も、自慢の一品になる。食材の美味しさをしっかりと引き出すことができれば、味付けはむしろシンプルな方がよいのだ。
この『レシピを見ないで作れるようになりましょう。』では、いくつか実際の料理を例に挙げて、見るべきポイントを細かく丁寧に説明している。本書でその基礎を学んだら、あとは自分が「美味しそう」と思う味付け、調理法、火加減を信じていろいろと試してみてほしい。最初は手探りな面もあるかもしれないが、感覚が掴めてしまえばそれはもう本物の力だ。そこからは、料理を楽しめる幸せを感じられるだろう。本当に覚えるべきなのは、レシピではなく、こういった“感覚”や“コツ”なのだ。
文=月乃雫
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