えっこんなに違うの!? 昭和と今の教科書を比べてみたら……

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2018/3/29

『こんなに変わった!小中高・教科書の新常識』(現代教育調査班/青春出版社)

  教科書は時代とともに、内容がどんどん変化している。太陽系にある惑星の数、鎌倉幕府が成立した年など、昭和の教科書と今の教科書とでは実は違っている。『こんなに変わった!小中高・教科書の新常識』(現代教育調査班/青春出版社)では、かつて教科書で教えられた知識がいまでは変わっていることを詳しく紹介している。

■「イイクニつくろう」はもう古い! 鎌倉幕府成立タイムラグ成立の謎

 研究が進み、明らかになった事実によって教科書は変わっていく。昭和世代にとって「イイクニつくろう」でなじみ深い1192年は源頼朝が鎌倉幕府を開いた年とされていた。しかし、現在の教科書では鎌倉幕府の開府年は1185年だったと記載されている。今の子どもたちは「イイクニつくろう」ではなく「イイハコつくろう」と覚えているのだ。

 旧常識の1192年は源頼朝が征夷大将軍に任命された年で名実ともに幕府が完成した年。新常識の1185年は源頼朝が朝廷に守護や地頭の設置を認めさせて、実質的な支配権を得た年。なぜ7年さかのぼることになったのか、それは1192年より前に幕府の基盤は出来上がっていると考えられ、朝廷から頼朝に権力が確実に移行した1185年のほうが開府年にふさわしいとなったからだ。

■「士農工商」の記述が2000年から消えた!

 江戸時代には「士農工商」っていう身分制度みたいなものがあって…と昭和世代の人は習ったはずだ。職業ごとに上下関係があり、武士が頂点に立って、次に農民、職人、商人と続くと習っていたと思う。しかし、現在では江戸時代を象徴する歴史用語だった「士農工商」は教科書には載っていない。近世史の研究が進み、士農工商という身分制度や上下関係は存在しないことが明らかになったからだ。現在の教科書では「武士」と「町人・百姓」と大きく二つにわけて説明がされている。城下町など町に住んでいれば町人で、村に住んでいれば百姓とされた程度の差しかなかった。さらに「百姓=農民」でもなかった。百姓は、農業だけでなく漁業や林業など一次産業に従事する人たちも含んでいたから、「百姓=農民」というイメージは旧常識なのだ。

■知ってビックリ! 西郷隆盛とフランシスコ・ザビエルの意外な共通点

 大河ドラマの主役にもなった維新の三傑・西郷隆盛。ぎょろっとした目が印象的な彼の肖像画は教科書にも載っていて、その姿かたちをすっと思い出せる人は多いだろう。あの有名な西郷隆盛の肖像画はイタリア人画家のエドアルド・キヨッソーネによって描かれたのだが、実はあの肖像画は隆盛の死後に想像で描かれたものだった。隆盛の肖像画は実弟の顔上半分、いとこの顔下半分を合成して描き、親戚関係者から話を聞いて完成させたもの。だから、あの肖像画を見た隆盛の妻は「主人はこんな顔じゃなかった」と微妙な反応をするくらい、本人とは似ていないらしい。隆盛の顔写真は残っていないので、本当の顔は今も謎のままわかっていない。隆盛のように肖像画が想像で描かれたために、本人とは違う顔が世間に広まってしまうケースは多々あるようで、日本に初めてキリスト教を伝えた宣教師フランシスコ・ザビエルもその一人だ。ザビエルといえば頭頂部の髪がないあの肖像画が有名だが、あれはザビエルの没後に日本人絵師が想像で描いたものだった。海外にある彼の肖像画は、髪はふさふさのイケメンに描かれているらしいから、ちょっと意外だ。

 研究が進んだり、新たな史料が見つかったりして、これまでの定説がひっくり返ることは、これからもきっとある。これまでの常識が旧常識になって、ひっそりと教科書の中から消えていくのだ。学んだ知識をアップデートするのに役立つ一冊。本書で昭和と平成の知識を取り込んで、世代間ギャップを楽しもう。

文=なつめ