尊すぎる“両片思い”に悶絶! ピュアすぎる恋愛を描く『パティシエさんとお嬢さん』

マンガ

更新日:2018/4/23

『パティシエさんとお嬢さん』(銀泥/一迅社)

 大人の恋愛マンガといえば、フクザツな恋の駆け引きや、愛憎うず巻く泥沼ストーリーを思い浮かべがちですが、なかには“ピュアな大人の恋愛”に飢えている方もいるのでは? とにかくほんわかしたい、という方におすすめなのが3月に発売された『パティシエさんとお嬢さん』(一迅社)です。

 本書は、作者の銀泥さん(@platalodo)が「勢いだけで描いた創作男女漫画」というコメントとともにTwitterに投稿した4ページの漫画をもとに、大量の書き下ろし漫画を加えて書籍化が実現。たった4ページながら、その破壊力は凄まじく、4月2日現在で40万近い「いいね!」を獲得し、書籍は発売から1週間で10万部を突破。快進撃を続けている作品です。

 この『パティシエさんとお嬢さん』は、洋菓子店「シュバル」で働く「パティシエさん」と、シュバルを訪れる「お嬢さん」の物語。

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 お嬢さんは “自分へのごほうび”に、毎週金曜日にシュバルのケーキを買いに行く常連客。お店に行く度、素敵なパティシエさんの笑顔とおいしそうなケーキに誘われて、いつも大量に購入してしまうぽっちゃり系の女の子です。ここまでは、クールなイケメン店員さんに癒やされるOLさんの漫画、という印象なのですが、第1話の最後に発覚するのがパティシエさんがお嬢さんに抱く恋心。

 お嬢さんが店を後にすると、大きなため息をついて「恥ずかしそうにいっぱい買ってくのすっげえかわいいっ かわいすぎて…今日も名前聞けなかった どうやったらナチュラルにあの子の名前を聞き出せるんだ」と、崩れ落ちるパティシエさん。

 おいおい、この2人両思いなのかよ〜〜〜! と、パティシエさんとともに、読者も崩れ落ちる、演出になっているのです。さらに、その後も2話、3話と話数を重ねているはずなのに、お互いの名前も知らないまま物語は進んでいきます。というか、全編に渡ってパティシエさんもお嬢さんも、お互いの名前を聞き出せないという、衝撃の展開。ちなみに、読者にもご両人の名前は明かされません。

 “恋に不器用”すぎる2人が、時間をかけてゆっくりと距離を縮めていくようすは、なんともいえない愛らしさ……。

 「両片思いラブコメディ♥」の名の通り、お互いが好きなのに一歩を踏み出せない“両片思い”の素晴らしさと、尊さを気づかせてくれる同作。なんと4月6日からは「ゼロサムオンライン」での連載も開始予定。とにかくピュアでほんわかした気分に浸りたい、そんな方に手にとっていただきたい一冊です。

文=真島加代(清談社)