菓子研究家が提案する、まだ見たことのない『新しいサラダ』
公開日:2018/4/8
「トマトとオクラのジェラートサラダ」
「キーウィフルーツのカリフラワーよごし」
「焼き玉ねぎのモンブランサラダ」
料理名からは想像できないサラダの数々。
菓子研究家・福田里香の新刊『新しいサラダ』(KADOKAWA)がSNSを中心に話題を呼んでいる。この本は、福田が日々のサラダを記録するために自分で撮影したのがきっかけで発刊に至った。
「自分のために今日にでも作りたくなる一皿や、食事会で作って友人や家族に喜ばれる一品を心がけました。ここ数年、野菜やフルーツが本当に美しくておいしいと感じています。その裏には農家さんの努力があり、こうして作物が進化していくのだなと目が離せません」
(福田)
撮影はすべて「iPhone7 plus」。四季の空気感を大切にしたという。
普段は菓子研究家ということで、甘味の提案をすることが多い福田だが、もともとはデリやパン製造も手がける高級果物の老舗・新宿高野(タカノフルーツパーラー)出身。食材に造詣が深く、著書のテーマも幅広い。その知識の豊富さでさまざまな雑誌に登場し、『装苑』ではフードコラムを19年間、『Discover Japan』では民芸菓子をテーマに5年間連載を続けている。
興味をもった野菜を自分なりに料理するうちに、レシピが浮かび、今回の「新しいサラダ」につながったそうだ。
「菓子研究家だからでしょうか。この野菜はこうして食べなきゃ、という垣根は低いのかもしれません。今回のサラダも最初は毎日おいしい野菜が食べたい、と家族と自分のために作り始めた料理。インスタグラムにあげてみたら評判になり、それが編集者の目にとまって、本を作ることになりました」
(福田)
福田の盛り付けの美しさには定評がある。それは普段菓子を作っているからでもあり、福田が美大卒であることにも関係していそうだ。
「盛り付けのちょっとしたコツで、サラダはもっとおいしくなるよと伝えたかった。もしかしたら、野菜の持つ色彩の豊かさはお菓子以上かも。読者のかたがページを開いたとき、素材の色がなるべく実際と同じに見えてほしいので白い器に盛り付けています。白い器=パレットですね」
(福田)
本の中に登場するのは、生野菜サラダだけではない。「蒸す」「焼く」「揚げる」「炒める」「煮る」「冷凍する」どなど、調理法もさまざまだ。
「古代ギリシャ時代から続くサラダの歴史を思えば、豆腐&しょうゆドレッシング、生キャベツに塩・ごま油、ポテサラなど、定番、家庭の味、懐かしい味と言われるレシピも、最初は新しいサラダだったんです。私はおいしく野菜を食べるための工夫がある料理は、全部サラダと呼んでいいと思います」
(福田)
サラダのよさは、作るのが簡単なこと。今回のサラダも、見た目は華やかだが、どれも作り方は簡単。調味料などもスーパーで手に入る一般的なものだ。
「いろいろな調理法を提案していますが、どれも野菜の味わいをなくさないよう注意しました。あざやかな彩りですが、作り方や味付けはいたってシンプル。塩だけで食べるという提案もありますから、料理が苦手な人にもぜひ試してほしいですね」
(福田)
この本の著者 ● 福田里香
菓子研究家。果物の老舗・(株)新宿高野に勤務後、独立。季節を生かしたレシピに定評がある。著書に『季節の果物でジャムを炊く』(立東舎)、『フードを包む』(柴田書店)など。
https://www.instagram.com/riccafukuda