家に幽霊300体!? もしもあなたの家が「お化け屋敷」だったら…?

暮らし

2018/4/9

『霊感一家のふしぎな実話』(りか/イースト・プレス)

「信じる、信じないはあなた次第」とはオカルト話の常套句であるが、この『霊感一家のふしぎな実話』(りか/イースト・プレス)で扱うエピソードもまさにそういう類である。私自身、霊感などといった特殊能力には縁がなく、そういった話にはあまり関心がない。しかし一点、本書に対して興味を抱いた部分があった。それがオビに書かれていた「私の家は、お化け屋敷でした。」という一文だ。なぜそこが気になったのかといえば、実は私がかつて住んでいた家というのが「元・病院」だったからである。

 それはともかく、本書に登場する家族は「女系霊感一家」であるらしい。著者の「りか」氏はたまに視えたり、霊をお持ち帰りしてしまったりすることもあるそうだ。彼女の姉は霊の被害を一番受けやすい体質を持ち、結婚してからは家を出て娘がひとり。そして彼女の母は大のオカルトマニアで、視える体質はもちろん自ら魔よけのパワーストーンを作っており、霊障を受けやすい人たちに好評だという。そんな著者たち家族の不思議体験が本書では綴られている。

 人にとって「家」とは帰るべき場所であり、心安らぐ空間であるはず。しかし著者たち家族にとっては、必ずしもそうではなかった。家の中は夏でも不気味に寒く、謎の影やラップ音などが彼女たちを悩ませるのである。母親が作るパワーストーンの客には視える人が多く、彼らが口々に「霊が視える」と語ったことで、どうやら不思議現象の原因がそれであることが判明。しかし著者らが何かできるわけでもなく、霊が徘徊するまま時を過ごすことになるのだ。

 著者たちの霊障でよく現れるものに「金縛り」がある。著者の得意技は「金縛りをとくこと」で、「手足の指をめちゃくちゃ動かす意識をすると、とける」のだという。これに関しては思い当たることがある。実は先述した「元・病院」の我が家で暮らしていた頃、結構頻繁に金縛りらしき現象を体験していた。そのとき著者のやっていたことと似たような方法で脱出していたのだ。当時はまったく気にしておらず、上京してからはそういう現象も一切なくなっていたので忘れていたが、こうして怪異のエピソードとして語られると該当することが多々あることに気づく。やっぱりあれは「そういうこと」だったのだろうか……。

 転機が訪れるのは、著者の姉が強力な霊能力者を知ってからのこと。その人に霊視してもらったところ、彼女たちの家は300にも及ぶ霊がひしめいており、このまま何もしないと姉は離婚して母親は脳の病気で死んでしまうという。半信半疑だった著者たちだが、実際に姉が離婚に至ってしまったことでにわかに現実味を帯びてくる。そこでその霊能力者に家の除霊をお願いすることに。前準備として霊能力者から指示されたのは「家系図」を作ることであった。その結果、判明したのは過去の因縁が原因で「末代まで祟る」状態であったことや彼女たちの祖母の霊が亡くなったことに気づいていないことなどさまざま。その霊能力者によって300に及ぶ霊はそれぞれに浄化され、著者たちの家の除霊は完了した。これまで寒かった家が暖かくなり、不思議な現象も起こらなくなったと著者は語る。

 高額の除霊代を支払い、友人たちにも心配されたという著者。しかしこれまで家が「安らげない」場所であった彼女たちにとっては、納得の支出だったのだ。私の家も「元・病院」だが、私自身はとても好きな家だった。家とはそうあるべきなのである。だからもし、理由も分からず「家が嫌だ」と感じたら、それはもしかしたら「目に見えない」原因があるのかもしれない。そう、「信じる、信じないはあなた次第」なのである。

文=木谷誠