「告白に必要なのは、勇気なんかより酒だ。」人生の大切なことが見えてくる、広告コピー集

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公開日:2018/4/10

『毎日読みたい365日の広告コピー』(WRITES PUBLISHING:編/ライツ社)

 日常生活で、時々ハッとする言葉に出会うことがある。駅ナカに貼られたポスターを見て思わず足を止めたり、CMで耳にしたキャッチが頭から離れなくなったりという経験がある人は多いだろう。偶然に出会った言葉は私たちに気づきや希望を与え、時に人生にかけがえのないものになったりする。

『毎日読みたい365日の広告コピー』(WRITES PUBLISHING:編/ライツ社)は、商品や企業の魅力を伝えるための「広告コピー」がまとめられた名言集だ。どんなに素敵な言葉であっても、消費を促す目的で作られる広告コピーはある一定期間、広告が掲載された場所だけでしか見ることができない。そんな広告コピーを暮らしに身近な名言集として毎日読んでもらうことができたら、という想いから、本書が作られたそう。収録されているのは、365日、その日やその季節にぴったりの広告コピー。

 コピーだけを読み進めてもいいし、添えられている説明文と一緒に、コピーの意味を噛みしめてもいい。名作として知られているコピーだけでなく、ローカルなコピーも幅広く掲載されているので、視点の多様さも魅力的な1冊だ。

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 どこのページから開いても楽しめる本書だが、いくつか心に突き刺さったものを紹介しよう。

■恋愛系のコピー

 大人の恋愛から甘酸っぱい初恋まで、秀逸なコピーはたった一言で恋の世界を作り出す。

2月14日「今日ドキドキしない人は、来月もドキドキしない人です。」(ロッテ)

 バレンタインデーなんて、自分には関係ない…と毎年スルーしていた人は、このコピーにドキリとしたのではないだろうか。しばらくドキドキしていないという人は、思い切って気になる人に想いを伝えてみれば、この先ドキドキできる日々が待っているかもしれない。

12月17日「告白に必要なのは、勇気なんかより酒だ。」(居酒屋ほっこり)

 お酒が入ると、人は気が大きくなる。言うつもりがなかった本音を思わず口走ってしまい、後悔したことがある人も多いだろう。最も大人が共感できるコピーではないだろうか。

■社会問題系のコピー

 問題提起を促すようなコピーは、数字でデータを示されるとより説得力が増す。

2月20日「20代の投票率、約35%。60代の投票率、約75%。あなたが政治家なら、どの世代に向けて政策を練るだろう。」(読売新聞社)

 このコピーには、1928年2月20日に日本初の普通選挙が行われた際、投票権があったのは25歳以上の男性のみであったこと、2015年に選挙権が満18歳以上に引き下げられたことなどの説明が加えられている。声をあげたくても、その権利を持たない時代があったことを考えれば、政治家の文句を言うよりまずは選挙に行こう、と思えるのではないだろうか。

9月6日「『毎日10分』早く帰る。1年で『5連休』分の家族の時間が生まれる。」(いしかわ子育て支援財団/石川県)

 毎日10分で5連休分の時間が捻出できるとは、目からウロコ。忙しいビジネスマンも、このくらいの時短なら自分にもできるかもしれない、と思わせてくれるコピーだ。

 贈りたい言葉の日付に印をつけるなどすれば、大切な人へのプレゼントにもぴったりな1冊。自分用に購入して常に手元に置いておけば、何気ない毎日が少し豊かになるかもしれない。

 最後に、本好きのダ・ヴィンチニュースの読者へこのコピーを。

5月16日「本を読むと旅にでたくなる。旅にでると本を読みたくなる。」(ナツイチ/集英社)

 次の連休は、本書をカバンにしのばせて、ふらりと旅に出るのもいいかもしれない。

文=佐藤結衣