自分に自信のないあなたへ。「イヤ~な感情」と距離を取って自尊心を高める方法

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公開日:2018/4/16

『自尊心の育て方 あなたの生き方を変えるための,認知療法的戦略』(マシュー・マッケイ&パトリック・ファニング:著、高橋祥友:訳/金剛出版)

 自尊心が高い・低いという話はよく耳にする。いや、「低い」という話をよく聞く。「日本人は自分に自信がないから○○だ」という話もよく耳に入ってくる。

 自尊心は人間にはなくてはならないものだ。自分を認識しその性質や性格について価値を決めるのは人間特有のものだ。だからこそ、自尊心が著しく低下し、己を傷付けはじめると心身ともボロボロになってしまう。

『自尊心の育て方 あなたの生き方を変えるための,認知療法的戦略』(マシュー・マッケイ&パトリック・ファニング:著、高橋祥友:訳/金剛出版)は「自尊感情」を維持し育てるための基本図書として全米で約80万部を売り上げたベストセラーだ。認知行動療法を基に自尊心を身に付ける方法を具体的なワークを交え記している。

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 自尊心が失われる原因として著者は「自分に判定を下す」ことを挙げている。自分に判定を下すことで己を拒絶し、苦痛を引き起こす。では具体的にどうすれば自尊感情を育てることができるのか。

 そのひとつの方法として「自分の思考と距離を置く」ワークがある。自分の思考に距離を置くことによって、感情に支配されずに自分を捉え直すことができる。そのワークはたとえば以下のようなものである。

■私には~という考えがある

 自分を批評する「もう一人の自分」があなたを攻撃してきたら、次の文章を思い浮かべてほしい。「私には自分が醜いという考えがある」「私には誰からも好かれないという考えがある」。このように、何か否定的なことを思いついたら「私には〇〇という考えがある」と言い換える。すると思考と距離が取れ、とらわれずに済む。

■今、私の心にはある考えが浮かんだ

 心を鎮めようとしても、次々に新しい考えが浮かんでくるだろう。そんなときは「今、私の心にはある考えが浮かんだ」と心で唱える。「ある考え」の部分は「恐怖の考え」「判断を下すような考え」「大丈夫ではないという考え」「間違ったという考え」などと言い換える。そのように名前を付けていくと、自己の観察が冷静なものへ変わっていくのを感じるだろう。

■心よ、ありがとう

 次は、なにか判断を下すような思考に対して「心よ、ありがとう」と言ってみよう。これは、「あらゆる思考は本当はあなたを助けようとしている」という点を認識するためだ。心は、あなたを守ろうとしてさまざまなことを思い浮かべるのだ。そんな「心」に感謝することによって、距離を置きつつ安らぎを得るのだ。

 自分の中の批判の声というのは必ずしも「事実」ではない。その証拠に、何かうれしいことがあって気分の良いときは批判の声は静まるものだ。大事なのは、否定的な自分の声から距離を置くことである。それも、自分ひとりで実行するよりも、ガイドをしてくれる1冊があると心強いだろう。「自分に自信がない」という人にぜひ本書を手に取ってみてほしい。

文=ジョセート