あえて今、“インスタ映えしない旅”を楽しんでみませんか? ひとり旅の達人・心配性トラベラーが伝授!

暮らし

公開日:2018/4/22

『できるだけがんばらないひとりたび』(田村美葉/KADOKAWA)

 ひとり旅をする人には必ず立ち寄られる田村美葉さんの大人気サイト「できるだけがんばらないひとりたび」がついに書籍化! ひとり旅をするときの極意とは? 

■インスタグラムがこわい

 インターネットが大好きな私ですが、インスタグラムだけはどうしても苦手です。細々と個人的なアカウントを持っていたのですが、ついに先日、アカウントを削除しました。それ以来、心平穏な日々を送っています。
 なぜなら、タイムラインに流れてくる、たくさんの綺麗で楽しそうな写真は心が明るくなるし好きなので、「よし、私も!」と思うのです。しかし、実際に自分が投稿したのを見ると、パッとしないし、いいね数も伸びないし、なんだか地味……。昔からの負けず嫌いな性格も災いしてか、落ち込む必要はないのに落ち込んでしまう……。そんなことの繰り返しでした。
 自分の撮ったご飯や風景があまりの「綺麗じゃないっぷり」にがっかり。なんでかな? と考えてみたら、「好きじゃないものは綺麗に撮れない」ということに気がつきました。

■みんなの「好き」に自分を合わせる必要はない

 私がいま、心から「好き」なもの、それはエスカレーターです。エスカレーター好きを自認してから既に15年近く経ち、エスカレーターの専門サイト運営という趣味が講じてWEBライターという職業につくまでに至ったので、エスカレーターを撮る技術だけはものすごく向上しました。私が持っている一眼カメラは、エスカレーターをかっこよく撮るためだけに特化しています。

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 エスカレーターのサイトをやっているときには、反応がとってもスローだから「この広い世界の片隅に、一人でも同じようにエスカレーターが好きな人がいればいい」という気持ちでやっています。インスタグラムは「瞬間」のメディアだから、そのとき「みんな」が好きだと思うものしか、いいねが伸びない。
 そんなこと気にせずに、自分が好きなもの、自分が楽しいと思うことだけ、していればいいのに、いつのまにか躍起になって、「みんなが好きなもの」に自分を合わせるようになっていたのでした。


■自分だけの「好き」を見つけると、旅と人生が楽しくなる

 4月20日発売の『できるだけがんばらないひとりたび』(KADOKAWA)では、そんなふうに、「インスタ映え」を目指したり、「こうしなきゃ」「あれもしなきゃ」とがんばったりしないで、「できるだけがんばらずに」旅を楽しむ方法を書かせてもらいました。

 エスカレーターが好きで、まだ見ぬ珍しいエスカレーターを追い求めて、世界各地を旅しているときは、だいたい「誰も観光で行こうとは思わない場所」が行き先になります。考えすぎで、心配性の私は、そうやって、そもそも誰も好きではないもの、誰も行かない場所を旅している時に初めて、「自由」を感じることができました。
それの、何が楽しいの? と言われることもあるのですが、想像以上にかっこいいエスカレーターや、かわいいエスカレーターに出会えたときの、自分だけの喜び、それこそが、私の旅の、そして人生の目的になっていると、今は信じることができるので、もうぶれることはありません。

文=田村美葉