還暦を過ぎた群ようこが、試行錯誤しながら見つけた、生活のためのあれこれ100のルール&ヒント

暮らし

2018/4/23

『ほどほど快適生活百科』(群ようこ/集英社)

 年を重ねるほど、荷物もしがらみも増えていくもの。だからこそ意識して身の回りをスッキリさせていくことが必要かもしれない。悩み多い生活のあれこれを、楽に快適にするためにと、群ようこ氏が考えたルールとヒントがつまった『ほどほど快適生活百科』(群ようこ/集英社)。本書は、集英社web文芸「レンザブロー」で連載されたものである。

 群ようこ氏は「60年以上生きてきて、生活していくためのすべての事柄に関して、その場その場であたふたと対応するより、ある程度予測、習慣化、システム化した方が楽だと感じるようになった」と述べている。

 還暦を過ぎた群氏の大きなテーマは、断捨離、生活の簡素化。そして「ほどよく無理せずゆるゆると」である。本書は衣、食、住、健康・美容、お金、仕事、人間関係、エイジングなど9章にわたる、群流の生活百科である。

衣 少数精鋭の服選び 通販服のサイズ選び 
食 台所用品は最小限 保存食は作らない
住 日用品には使用期限を ネコと私の定番の香り
健康・美容 アンチ「アンチエイジング」 外ネコ的健康対策 
お金 借金を申し込まれたとき 寄附のマイルール
仕事 アイディアは蓄積×偶然の産物
人間関係 家族であっても別人格
エイジング 中高年はすべてほどほどに

 たとえば「衣」の章では、外出用の服について、靴やアクセサリーも合わせた「おでかけセット」を数タイプ用意しておき、「この場面ではこのセット」と決めておくことで、時間とエネルギーを使うことなくスムーズに支度ができることを紹介。お金については「ケチらず使って人生を楽しむ」というルールを持ち、「通帳の残高が一年間生きていける額を割らないようにその範囲で楽しんでいく」と述べる。

 服は増やさず、エイジングに抗わず、化粧はシンプルに。昔から食べ慣れた料理を作り、できるだけ3食自炊。パソコンは1日30分と決め、携帯電話は持っていない。「ずっと独居で自分勝手に暮らしてきたので皆様のお役に立つとも思えないが」と群氏は述べるが、所有物の数を決めてしまうこと、食事のパターン化、人間関係で起こりうる事柄については予測し対応策を考えておく、など参考になることや目から鱗のアイデアも満載だ。

 本書では断捨離により厳選された愛用品の数々が紹介される。洗剤は環境に配慮している「エコベール」と「海へ…」。食事を作りたくないときのお助けには、添加物が少なくひとりで食べきれる、明治屋の「おいしい缶詰」シリーズ。台所用品や食器なども、「無印良品」のザルから「柳宗理」のレードルまで、一人暮らしに使い勝手の良いものが紹介されていて、どれもチェックしてみたくなる。

「就活、婚活、妊活もしなかったが終活だけは無視できない問題」と述べる群氏自身の希望は、飼っているネコよりも長生きするという1点だけ。近くに住む同年代の独身独居の友人たちと互助会をつくり、突発的な事態を含めて終活についてもルールを決めているという。群氏が思考錯誤しながら見つけた暮らしの知恵を真似するのもよし、参考にしてマイルールを作るのもよし。本書は自分の暮らしを見つめ直すきっかけになるはずだ。

文=泉ゆりこ