頑張ることをやめられない人々へ送る、人生を楽しむ最強の「うちなーシンキング」とは?

ビジネス

2018/4/26

『最強のうちなーシンキング』(大城太/秀和システム)

 できることなら何も考えずに毎日ゴロゴロしていたい。そんな願望を心の奥底に押し込めて、一生懸命頑張るのが現代人だ。仕事に恋にプライベートに、毎日のように奔走している。結婚して子どもが産まれたら、子育てと仕事を両立させて、人生最大の頑張り時がくる。

 でも、たまには楽がしたい。ふっと心がゆるむ時間もほしい。それに、もっと余裕のある生活がしたい。そんな人におすすめの1冊がある。『最強のうちなーシンキング』(大城太/秀和システム)だ。沖縄流思考法「うちなーシンキング」を学ぶことで、沖縄人のようにゆるーく頑張らずに、ストレスフリーに生きていく方法を提案しているのだ。

■楽をしたいと思うのは人間の本能

 本書を読むと、「うちなーんちゅ(沖縄人)」には「何事にも気長に取り組もうとする姿勢」があるように感じる。沖縄には「命どぅ宝(ぬちどぅたから)」という言葉がある。「命こそ宝」であり、人生で一番大切にすべきもの。長く生きていれば何度でもやり直せるから、仕事で失敗しても恋で泣いても、またやり直せばいい。「どん底」には必ず先がある。未来があると考えるのだ。

 だから無理して、我慢してまで頑張らない。上司と合わなければ転職すればいい。ダメなときはダメだと受け入れる。それからのことは、それから考えたらいい。人生にドンと腰を据えた生き方に、肩の力が抜けていくのを感じる。

 また、「良い加減」を愛する人たちであることも読み取れる。それが「テーゲー(だいたい)」の精神だ。現代人は「完全無欠」を理想として憧れている。仕事もプライベートも、見た目も性格も、完璧でありたいと望む。一方、うちなーんちゅは謂わば「60点主義」だ。100点を目指さなくてもいい。たとえば、パソコンを使って仕事をしているからといってパソコンの機能をすべて知らなくてもいいように、「なんでもできたほうがいい」という「網羅的な思想」を持ち合わせていない。今いる場所で自分に合ったやり方で「テーゲー」にこなせばいい。そう考える。

■完璧を目指さないことで、人間関係はもっとラクになる

 このテーゲー精神は人間関係でも発揮される。よく私たちは「あの人にあんな一面があるんだ」という言葉を口にする。プラスの印象ならまだしも、マイナスの印象のときは「がっかり感」が含まれていることを示している。

 しかし、その人の一面を知らなかっただけなのに、なぜ無理にでも「分かり合おう」「お互いもっと仲良くしよう」とするのか。私は私。あの人はあの人。お互いの生き方に干渉する必要はない。それでも私たちは今日も誰かのことを口にする。

 きっと人は心のどこかに寂しさを隠し持っていて、知らず知らずのうちに、相手に見たもの・感じたもの以上の何かを求めて、仲良くしようと近づいてしまう。そしてがっかりしてしまうのだ。

 仕事でもプライベートでも、その人の良い一面を見たら、そのままでいいとするのがうちなーシンキングだ。それ以上は見ようとしない。無理に仲良くしなくてもいい。悪い一面を見たときも同様だ。人間付き合いも「60点」。気長にテーゲーに、付かず離れず、少しずつ関係を深めていけばいいだろう。それでも無理ならば離れてみるといい。離れられないならば生きる場所を変えればいい。そう考えるだけだ。

■人生最大の目標は長生き。長生きできれば万事なんとかなる

 本書では様々な「うちなーシンキング」が紹介されている。読み通してひしひしと感じるのは、知恵を使って、臨機応変に、ゆるく、楽に、自分のペースで、失敗してもいい、というおおらかな生き方。誰かと比べることなく、相手のペースに惑わされない。「真面目にやっていれば、なんとでもなるよ」そんな優しい言葉がたくさんちりばめられている。

 おそらく沖縄人は誰よりも自分自身を大切にし、守りたい価値観をしっかり持っているから、あくせくせずにゆるく楽しく毎日が生きられるのかもしれない。

 このような生き方にいきなり切り替えることは、私たちには難しいかもしれない。しかしそれを頭の片隅においておくこと。それを目指して「テーゲー」に頑張ること。そうすることで、私たちの中にも少しずつ「うちなーシンキング」が流れ始め、きっと人生にドンと腰を据えた生き方ができるはずだ。

 人生は長い。だから気長にやればいい。今日もほどほどに。明日もほどほどに。「ほどほど」を長く続ければ、たいていのことは成し遂げられるだろう。だから、大丈夫なのだ。

文=いのうえゆきひろ