アシベとゴマちゃんが帰ってきた! 高校生になったその後を描く『青少年アシベ』発売後すぐに重版決定!

アニメ・マンガ

2018/4/24

『青少年アシベ』(森下裕美:原作・構成、笑平:作画/双葉社)

「少年アシベ」と聞いて思い出すのは、なすび頭の少年(アシベ)と、キューキューと鳴くゴマフアザラシのかわいいゴマちゃん。そしてアシベを想って人形を抱えて泣き続ける、目つきが怖いスガオくん。彼を溺愛している真っ白なイエティ。25年以上も前のことなのに、彼らの姿が名前を聞いただけで一気によみがえる。それくらい『少年アシベ』のみんなは、90年代の子供たちにとって身近な“友達”だった。そのアシベたちのその後を描いた『青少年アシベ』(森下裕美:原作・構成、笑平:作画/双葉社)が発売されたと聞いて飛びつかずにいられようか。

『少年アシベ』の何がそんなに魅力的だったのだろうと思い起こすと、日常の“大好き”と“驚き”が満ちていたからじゃないかという気がする。アシベは元気いっぱいで好奇心旺盛な、ごくごく普通の少年だ。大工の父ちゃん、ちょっぴりクールな母ちゃん、ネパールに引っ越してしまった親友のスガオくん。出てくるのは多少個性的ではあるものの、アシベ同様ごくごく普通の人々だ。だが、そこにゴマちゃんというアザラシの赤ちゃんが非日常の媒介として登場することで、日常は愉快に躍動しはじめる。スガオくんはネパールでイエティに出会い、現地の少女と交流をして、世界をぐんぐん広げていく。

■3世代ゴマちゃんになっていた!

 青少年になっても、彼らの根っこは変わらない。アシベは高校生。ネパールから帰ってきたスガオくんとはクラスメートで、あいかわらずいつも一緒。大きくなったゴマちゃんとは一緒に暮らせなくなったものの、おじいちゃんが買い取ってくれた水族館で、コゴマちゃんやココゴマちゃんと悠々自適に泳いでいる。オーナーのアシベは机をもちこんで、ゴマちゃんの前で宿題をすることもあれば、水槽に飛び込んで一緒に泳ぐこともある。スガオくんはネパールにいるチットちゃんに会う日をめざして、自由すぎる家族に困らされながらもバイトで旅費を稼ぐ日々。友達はみんな、マイペースに騒がしく、迷惑なこともあれば助けになることもある。かつてと変わらないあたたかくて、“好き”でつながった世界がそこには広がっている。

■ユミコちゃんが、同人誌を描く腐女子に!?

 個人的になんて素敵だろうと思ったのは、腐女子に成長した同級生のユミコちゃん。アシベとスガオをネタに同人誌を描きつづる日々なのだが、そんな彼女を誰も敬遠したりしない。ネタにされているアシベたちも、あっけらかんと彼女を見守っている。ユミコちゃんが自分の趣味を他人に押しつけたりしないかわりに、自分たちの正義を誰も彼女に押しつけない。彼らの世界が美しくあれるのは、相手を思いやり尊重する心を知っているからなのだ。

 とはいえ、変わらないものもあれば変わりゆくものもある。幼い“好き”は“恋”へと育ち、スガオを惑わせる見知らぬ少女も出現する。泣いたり笑ったり、傷ついたり助けられたり、たくさんの感情を経験しながら少年は青少年へ、青少年は大人へと育っていく。『少年アシベ』を知っている人も知らない人も、ぜひこのぬくもりに触れてみてほしい。読み終えたとききっと世界は、優しい光に満ちているはずだ。

文=立花もも