憧れのヒーローたちには「好物」があった! 彼らは一体、何を食べていた?

マンガ・アニメ

2018/4/25

『ヒーローめし 1』(石田敦子/集英社)

 そういえば最近、特撮番組を観ていても、あまり食事をするシーンは描かれない。殊に特撮が若手俳優の登竜門的な側面を有してからは、そういう場面はほとんど見られなくなった。確かにイケメン俳優に「大食い」のイメージは、あまり歓迎されないのかもしれない。しかしながら、かつては特撮に限らず「ヒーロー」には「好物」として登場する食べ物が結構あったのである。『ヒーローめし 1』(石田敦子/集英社)では、父親を亡くした兄弟がヒーローたちの食べた印象的な「メシ」を追体験しながら、明るく生きていく姿が描かれる。

 本書で最初に取り上げられる「ヒーローめし」は、ズバリ「キレンジャーのカレー」だ。そう、昭和の特撮世代ならばほぼ確実に刷り込まれているであろう一品である。「キレンジャー」とは『秘密戦隊ゴレンジャー』という、「スーパー戦隊シリーズ」の元祖たる作品に登場するヒーローのひとり。彼はカレーが大好物で、任務の最中であってもカレーを見るや手をのばしてしまうほどだ。しかもそのカレーはとんでもない大盛りで、あの山のように盛られたカレーが強く印象に残っているファンも多かろう。それゆえ当時はキレンジャーが黄色の戦士であったことから「イエロー」=「大食い」の図式まであったほど、このイメージは強烈に焼きついていたのである。漫画では父親の死で落ち込む弟を兄が励ますため、カレーを「キレンジャーのカレー」といって出す。父親はアニメの演出家で、弟もその影響でアニメや特撮が大好きだったからだ。そしてこれを機に、ふたりの食卓にアニメや特撮で登場した「メシ」が再現されることとなるのである。

 一般的に「ヒーローめし」と聞けば、平和を守るために闘うヒーローものに登場する食事と思うはず。私もそうなのだが、本書ではそのようなものの他に、「キテレツのコロッケ」「チビ太のおでん」「ハウルのベーコンエッグ(+スープ)」なども登場する。「キテレツのコロッケ」とはアニメ『キテレツ大百科』の主題歌「コロッケの歌」にちなんだ品で、「チビ太のおでん」は『おそ松くん』に登場するチビ太というキャラクターの好物。そして「ハウルのベーコンエッグ(+スープ)」は『ハウルの動く城』で主人公たちが作るベーコンエッグである。ヒーローめしというよりは「アニメめし」のような気がしなくもないが、ヒーローの定義など人それぞれではあろうから、それはそれでいいと思う。なので私も再現料理に挑戦するにあたっては、闘うヒーローの「ヒーローめし」にしたい。それに該当しそうなのが『キン肉マン』の「牛丼」だ。

【キン肉マンの牛丼】


 料理を再現する際、基本は本の手順(レシピ)を忠実に実行するが、今回はレシピなど特に存在しない。だが『キン肉マン』に登場する牛丼は、よく知られているように「吉野家」のものが多い。ゆえに今回は「吉野家」の牛丼を再現することにチャレンジする。いろいろ調べてみるに正式なレシピは当然ながら明かされてないが、さまざまな再現レシピは存在した。もちろん各々で材料に違いはあるが、共通していそうなのが「外国産の牛肉を使う」「白ワインを入れる」というところだろうか。材料は2人前で「牛バラ肉(外国産)200g」「玉ねぎ1/2個」「水350cc」「かつおだし(顆粒)小さじ2」「昆布だし(顆粒)小さじ1」「中華調味料(半ネリ)小さじ1」「白ワイン大さじ2」「砂糖大さじ1と1/2」「醤油大さじ1と1/2」以上である。作りかたは以下。

1. 鍋で水を沸騰させ、かつおだし、昆布だし、中華調味料、白ワイン、砂糖、醤油を入れる。
2. 肉を1枚ずつ広げて鍋に入れ、フタをして中火で10分程度煮る。
3. 5mm厚程度に切った玉ねぎを2に加え、フタをして弱火で10分程度煮る。
4. 丼に盛りつけて完成。

 なるほど、白ワインを入れることでフルーティーな味と香りが付与され、とても美味である。「吉野家」の牛丼を最近は食べてなかったが、確かにこんな感じだった気がする。憧れのヒーローが食べていたメシと同じものを食べるのは、食事を作る動機としては大いにアリである。読者諸氏も思い入れのあるヒーローに好物があれば、ぜひ挑戦していただきたい。

文=木谷誠