二宮和也主演でドラマ化された東野圭吾の『流星の絆』! 何者かに両親を惨殺された三兄妹の復讐劇

文芸・カルチャー

更新日:2018/5/14

『流星の絆』(東野圭吾/講談社)

 星降る夜に何を願おうと、それを叶えるのは流星ではなく、本人たちの決意だ。

「大人になったら、三人で、犯人探して復讐しような」。何者かに両親を惨殺された三兄妹の復讐劇を追った小説『流星の絆』は、東野圭吾作品史上、売り上げNo.1の大人気小説。2008年、二宮和也、錦戸亮、戸田恵梨香主演でドラマ化もされたこの作品は。今もなお根強い人気を誇っている。練りに練った復讐計画。衝撃の真相。東野ファンはもとより、東野作品初心者にこそオススメしたいスリル溢れた作品だ。

 主人公は、洋食店「アリアケ」を営む両親を持つ3兄妹、功一、泰輔、静奈。3人で流星群を見に出かけた夜、家に戻ると、両親が何者かに惨殺されていた。14年の時が経ち、互いだけを信じあい、結婚詐欺を働きながら暮らす3兄妹。ある日、彼らは詐欺のターゲットとして、レストラン「とがみ亭」の御曹司・戸神行成を選ぶ。しかし、そのレストランのハヤシライスは「アリアケ」と全く同じ味だった。おまけに、泰輔によると、事件当日に目撃した男は、行成の父親・政行に酷似しているという。時効は間近。詐欺から復讐へと計画をシフトさせた彼らの前に、犯人を突き止める最初で最後の機会が訪れる。

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 頭の切れる長男・功一。演技力バングンの泰輔。魅力的な美貌であらゆる男に愛される静奈。兄妹たちのチームワークは抜群。彼らは復讐を成し遂げようと、レストラン「とがみ亭」を徹底的に調査する。そして、練られた作戦はとてもスリリング。高鳴る胸の鼓動。手に汗握る展開。いつの間にか読者は、彼らの計画がうまくいくことを希う自分に気づかされることだろう。詐欺も復讐も決して許されることではない。しかし、事件以降、不遇な人生を歩んできた3人にどうしても同情してしまうのだ。

 しかし、彼らの復讐計画には、思いもよらぬ誤算があった。「兄貴、あいつは本気だよ。俺たちの仇の息子に惚れているよ」。計画からどんどん外れていく静奈の行動。静奈の恋心は計画を破綻させていく。幸せを取り戻すため、大きな勝負に出る彼らは、一体どうなってしまうのか。彼らは犯人を見つけ出し、復讐を成し遂げることができるだろうか。

 物語のあちこちに張り巡らされた伏線が一本へとまとまっていく。そして、待ち受ける衝撃のクライマックス。この終盤でのどんでん返しが、東野作品ならではの醍醐味だ。

「俺たちって流れ星みたいだな。あてもなく飛ぶしかなくって、どこで燃え尽きるかわからない。だけどさ…俺たち三人は繋がっている。いつだって絆で結ばれている。だから、何もこわがるな」

 この物語は、「絆」の物語だ。兄妹の絆を描いた物語であり、親子の絆を描いた物語である。そして、ラストには…。最後の最後までの疾走感たっぷり。この衝撃のミステリーをぜひともあなたも味わってほしい。

文=アサトーミナミ