ほくろに耳たぶ、ペチャパイ……女子の体のカーブを描く『彼女のカーブ』

マンガ

更新日:2018/5/7

『彼女のカーブ』(ウラモトユウコ/太田出版)

 気候もおだやかになり、街を歩く女の子たちの服装も軽やかになった今日このごろ。ファッションを楽しむ彼女たちのまぶしさに、顔がほころんでしまいますよね。夏に向けて薄着になるにつれ「ああ、女の子ってなんてやわらかそうなんだ……」と、見とれてしまいます(※ちなみに筆者は女です)。

 彼女たちがもつ独特な“やわらかさ”の正体は体の「曲線(カーブ)」にあるのでは、と考えていたところ、ある漫画に出会いました。その漫画とはウラモトユウコ先生の短編集『彼女のカーブ』(太田出版)。

 同作は女性の体がもつ“さまざまなカーブ”と、その曲線にまつわる物語をオムニバス形式で描いた短編集です。作中には「耳たぶ」や「つめ」、「おしり」など、大小さまざまなカーブが登場しますが、今回筆者がもっとも気になったカーブは“ほくろ”でした。

advertisement

■「エレガのほくろ」を押してみたい

 舞台はとある大型書店。この書店のエレベーターには、客が行きたい階のボタンを押してくれるエレベーターガール、通称エレガが乗っています。そして、エレガとして日々職務をまっとうする彼女のうなじには、少し大きめの“ほくろ”がありました。一つ縛りにした彼女のうなじから覗くほくろに、エレベーターの利用客は、みんな釘付け。

 書店の常連客・内藤も、エレベーターに乗るたび彼女のほくろを「押してみたい」と考えている客のひとり。

「もしかしたら彼女はメカ・エレベーターガールで彼女のそれ(ほくろ)はスイッチではないのか(押してみたい…)
半球ではない すこし扁平で大きさはそう ちょうどあの頭痛薬くらいの直径と厚みだ」

 そんな妄想を巡らせているうちに、意識が朦朧としてきた彼は、エレガのほくろをポチッと押してしまいます。ついほくろを押してしまった内藤の運命やいかに!

 という後の展開は、ぜひ単行本で確認していただくとして、本作で注目すべきは、うなじにあるほくろです……! うなじは、ただそれだけで充分魅力的な曲線を描いているのに、その真ん中にぽっちりとある扁平型のほくろ。まさに、カーブの合わせ技といっても過言ではありません。

 私はこれまでの人生で、うなじにほくろがある女性に出会ったことはないのですが、実際に目の前にいたらほくろを押したい衝動に駆られてしまうかもしれません。

 そのほかにも、夢に出てきた理想の脚を持つ女性を探し求める「キミの脚」や、ペチャパイ女子大生の不幸な一日を描く「桶屋さんのデコルテ」など、さまざまなパーツの魅力が満載の一冊なのです。何より、ウラモトユウコ先生が描く女の子がみんなかわいい!

 私の場合は、うなじにあるほくろでしたが、好きなカーブは十人十色。同書を読むことで自分は“どんなパーツ”の“どんなカーブが好き”なのか、新たな発見ができるかもしれません。

文=丸井カナコ(清談社)