スマホの長時間使用で、学力が低下! あなたはそれでも子どもにスマホを持たせますか?

出産・子育て

2018/5/5

『スマホが学力を破壊する』(川島隆太/集英社)

 電車のなかでふと顔を上げると、車内にいる人のほとんどがスマホを凝視しうつむいていて、不気味に感じることがある。最近は幼い子どもですら、スマホをいじっている。しかし毎日何気なく使用しているスマホが、学力低下に大きな関係があるとしたら。あなたはそれでも子どもにスマホを持たせるだろうか。

●スマホを長時間使う生徒ほど、学力が低下する

 スマホを長時間使用する中学生ほど、学力が低いという調査結果を明らかにしたのは、大ヒットしたDS用ゲームソフト『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の監修でも知られる東北大学教授の川島隆太氏だ。著書『スマホが学力を破壊する』(集英社)のなかで、川島教授はスマホが子どもの学力に与える恐ろしい影響を示唆している。

「調査によって判明したのはスマホを長時間使用する中学生ほど、学力が下がっていくという事実です。家庭で毎日2時間以上勉強して、スマホを3~4時間使用する生活を送っている生徒は、家庭学習をほとんどせず、スマホを使用しない生徒よりも成績が低い。スマホを使用する頻度と学力の低下は、明白に相関関係にあります」(川島教授、以下同)

 仙台の市立中学生2万2390人を対象に、独自に行われている学力調査と学習習慣のアンケートをもとに2011年から解析を始めた川島教授。そこで思いがけず、スマホの使用頻度と学力低下の相関関係に気がつくこととなったという。

 スマホを長時間使用する生徒ほど、学力が低い…一見、当たり前の話にも思える。スマホを使えば使うほど、家庭学習の時間も睡眠時間も削られていき、当然、それは日々の勉強にも影響するし、スマホをダラダラ使っている子どもの学力が伸びるはずがない。しかし恐ろしいのは家庭学習の時間や睡眠時間の減少は、学力低下と必ずしも関係があるとは言えない点だ。

「たとえ6~8時間の標準的とされる睡眠をとっていても、スマホ使用時間が1時間を超えると学力は低下します。また家庭学習時間が長くても、スマホ使用時間の長い児童・生徒の学力は明らかに低い」と川島教授は話す。

 家庭学習の時間が同じでも、スマホを使わない生徒と4時間以上使う生徒とでは、平均点に15点も開きがでてしまうという結果もでているのだ。スマホは脳に何かしらの抑制をかけているのではないか…そんな恐ろしい仮説すら生まれるほど、川島教授はスマホが脳に与える影響を危惧する。

●メッセンジャーアプリは注意力を散漫にする?

 一体、スマホの何が学力に悪影響を与えているのか。川島教授は、本書のなかで、メッセンジャーアプリを使用することの弊害を述べている。たとえ家庭学習の時間が長くても、勉強中に友達からメッセージがくれば、おもわずスマホを手に取りいじってしまう。当然それでは集中力を養うことはできず、勉強しているつもりになっているだけで、頭には入っていないことも多いだろう。実際、米国の大学生を対象にした調査では、インスタントメッセンジャーを使用する時間の長い学生ほど、教科書などを読むときに注意散漫になりがちだという報告があるそうだ。

 しかし、子どもに「スマホを持つな」と言うのがもう難しい時代に突入していることは、親ならば誰もが感じていることだろう。内閣府が2017年に発表したデータによると、スマホを所持していない高校生は20人に1人。中学生も4割以上がスマホを保有している。禁止することは難しくても、せめて子どもの学力に影響を与えないような使用法はないのだろうか。

 本書によると、スマホの使用時間を1日1時間に抑えることができれば成績は下がらず、むしろスマホを使わない子よりも成績がいい場合もあるようだ。大人でさえダラダラ使い続けてしまうスマホ。それを我慢し、自身でコントロールできる理性的な子どもは、学力も低下しないわけだ。

「スマホの使用を1時間以内に抑えること。また課題に集中したいときは、ラインなどの通知で集中力を切らさないためにも、携帯は別の部屋に置く、などルールを作ることも大切です」

 スマホに依存しきった生活を送っていることに、私たちはもっと危機感を持つべきなのかもしれない。

文=清談社