日本の形を体感できる「建築の日本展」で、伝統から世界最先端にわたるデザインに触れよう

文芸・カルチャー

2018/4/28

 今年のゴールデンウイークは混雑や渋滞を避けて、都内でのんびりと知的好奇心を満たしたい。そう考えていたあなたに朗報がある。東京・森美術館(六本木)で、「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」が開幕した。

 本展の特徴と魅力はまさに「建築の日本」というそのタイトルに詰まっている。
 日本で暮らしている私たちはふだんあまり意識しないかもしれないが、海外から見る日本という国は、まぎれもない「建築大国」なのだ。丹下健三、谷口吉生、安藤忠雄、妹島和世……、国際的に高評価を受ける有名建築家の名前だけでも枚挙に暇がない。こんな国は世界を見ても珍しいのだという。

▲北川原温 木組みインフィニティ

 また、日本の建築に注目したい点は、現代で活躍する建築家の作品だけではない。古代からつづく自然環境と豊かな伝統・風習を礎とした日本の建築は、ほかに類を見ない独創的な発想を内包している。本展は、縄文時代の住居から最新技術を凝縮した現代建築のプロジェクトまで、展示総数400点を超える圧巻のスケールで日本建築の本質に迫る試みだ。

▲名護市庁舎 模型

 千利休作と伝えられ、現存する日本最古の茶室建築である国宝《待庵》の原寸再現や、丹下健三の《自邸》を1/3スケールで再現した巨大模型、ライゾマティクス・アーキテクチャーによる日本建築のスケールを最新の3D技術で再現した新作映像インスタレーションなど、見どころの連続。貴重な建築資料や模型など、多彩で多角的な展示によって、日本建築の過去→現在→未来像が鮮やかに照らし出される。

伝千利休《国宝・待庵》
安土桃山時代(16世紀)/2018年(原寸再現)
制作:ものつくり大学 ※参考図版

ライゾマティクス・アーキテクチャー《Power of Scale》
2018年 インスタレーション ※参考図版

 本展の中で、とりわけダ・ヴィンチニュース読者におすすめしたいコーナーは、「ブックラウンジ」だ。
建築に関する貴重な文献が書棚に揃えられており、椅子に腰を掛け、資料に触れて読むことができる。特にうれしいのは、剣持勇や長大作などの戦後モダニズム建築を彩ってきたデザイナーによる名作家具のオリジナルを実際に使用しながらこのラウンジを楽しむことができることだ。名作家具は美術館に収蔵されているものも多いが、通常は展示されていても手に触れる機会は少ない。それらの作品に腰掛けて本のページをめくることができるのは、本展ならではのうれしい仕掛けだ。

▲ブックラウンジでは椅子に腰掛け本を手に取ることができる!

 建築も家具も、外から眺めるだけではなく、実際に触れたり体感したりしないとその価値や意味を自分自身で掴むことは難しい。本展では、見るだけでなく、体感できる作品や復元・模型作品を充実させているという点も、満喫したいポイントだ。

 ここまで読んだ方は既にお気づきのように、本展は「日本の建築展」ではなく「建築の日本展」である。建築を通じていつもとは違う切り口で「日本」の歴史と現在が俯瞰できる。

 この展示で得た知識やインスピレーションは、あなたの普段の街歩きや旅行をより一層楽しいものにしてくれるだろう。本展には撮影可能なエリアも多いので、GWの思い出づくりとして自慢の写真を記録するだけでなく、SNSなどでも投稿したいところだ。ほかの皆とはひと味違った“インスタ映え”間違いなしだ。
 知的好奇心がくすぐられる本展、是非足を運んでみては?

取材・文=K(稲)

「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」
・会期: 2018年4月25日(水)~9月17日(月・祝)
・会場: 森美術館(東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー53階)

・開館時間: 10:00-22:00|火10:00-17:00 *いずれも入館は開館時間の30分前まで*会期中無休
・入館料: 一般1,800円、学生(高校・大学生)1,200円、子供(4歳―中学生)600円、シニア(65歳以上)1,500円
 *表示料金に消費税込
 *本展のチケットで展望台東京シティビューにも入館可(スカイデッキを除く)
 *スカイデッキへは別途料金がかかります

・主催: 森美術館
・後援: 一般社団法人日本建築学会、公益社団法人日本建築家協会、アルカジア東京大会2018、一般社団法人日本建築構造技術者教会、一般社団法人日本デザイン学会
協賛:株式会社大林組、清水建設株式会社、株式会社竹中工務店、鹿島建設株式会社、大成建設株式会社、株式会社日本設計、合同会社日本MGMリゾーツ、大光電機株式会社、IHI運搬機械株式会社、株式会社きんでん、三建設備工業株式会社、アマノ株式会社、千代田ビル管財株式会社、フジテック株式会社、株式会社入江三宅設計事務所、株式会社関電工、株式会社建築設備設計研究所、株式会社久米設計、株式会社九電工、日本ピーマック株式会社、株式会社乃村工藝社、パナソニック株式会社、三機工業株式会社、高砂熱学工業株式会社、株式会社山下設計、横浜ビル建材株式会社
・協力:シャンパーニュポメリー、コーニングインターナショナル株式会社、株式会社ハロー、前田建設工業株式会社、ものつくり大学、野口直人建築設計事務所、おだわら名工舎、住友電気工業株式会社、株式会社テオ、株式会社山長商店
・監修:藤森照信(建築家・建築史家/東京大学名誉教授)
・企画:南條史生(森美術館館長)、前田尚武(森美術館建築・デザインプログラムマネジャー)、德山拓一(森美術館アソシエイト・キュレーター)、倉方俊輔(建築史家/大阪市立大学大学院工学研究科准教授)、ケン・タダシ・オオシマ(建築史家/ワシントン大学教授)

■詳しくは【公式ホームページ】へ