「他人の気持ちに無頓着」「いつも追い越し車線を走る」マイルド・サイコパスの正体【チェックリスト付】

社会

公開日:2018/5/7

『サイコパスの真実(ちくま新書)』(原田隆之/筑摩書房)

 サイコパスといえば何をイメージするだろうか。ドラマでよく見る猟奇的殺人犯、記憶力が異常に優れている天才などを想像するかもしれない。

『サイコパスの真実(ちくま新書)』(原田隆之/筑摩書房)によると、サイコパスはもっと身近にいる存在だという。彼らは表面的な言葉を操り、嘘をつくのがうまい。彼らの存在に周りは気づいていないだけかもしれないのだ。

■そもそもサイコパスとは

「サイコパスとは、良心を欠いて生まれた人々である」と本書は定義している。良心がない、罪悪感を持たない、自分や他人の“痛み”を感じない。それがサイコパスの大きな特徴だ。

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 しかしながら、彼らを見つけることは容易ではないという。なぜなら、サイコパスは人を騙すことを得意としているからだ。周囲からはただ「普通の人」と思われている人物がサイコパスかもしれないということだ。

■身近にいるかもしれないマイルド・サイコパス

 人口の約1%は「マイルド・サイコパス」だという。ここでいうマイルド・サイコパスとは、サイコパス的な脳のつくりを持ちながら、反社会性傾向はなく、攻撃性が社会的に許容される程度で、大きな逸脱や問題行動に出ることはない人々のこと。つまり、無害なサイコパスのことだ。サイコパスあるいはマイルド・サイコパスかどうかは、脳画像で調べることができるそうだ。

■マイルド・サイコパスの特徴を分析

 本書の帯に記載されている、マイルド・サイコパスのチェックリストを紹介する。以下は、マイルド・サイコパスの特徴を羅列したものである。あなたはどれくらい当てはまるだろうか。

□服装や言葉遣いが洗練されていて、魅力的
□ルールや時間に無頓着
□スリルや興奮を追い求める
□心拍数や呼吸数が少ない
□刹那的で衝動的なライフスタイル
□息を吐くように嘘をつき、バレても動揺しない
□いつも追い越し車線を走る
□他人の気持ちに無頓着
□人前でもあまり緊張しない
□いつもポジティブで、不安が少ない

 この10項目だけではあなたがマイルド・サイコパスかどうかを判断することはできないが、当てはめて考えると、マイルド・サイコパスについて多少理解が得られるだろう。

 一方で、自分がサイコパスやマイルド・サイコパスだと気づいていない場合もありえるので、やたらと当てはまるという人には参考にしてほしい。

■サイコパスやマイルド・サイコパスとどう付き合うか?

 サイコパスの原因には謎が多いという。多くの研究によって、家庭環境や生育環境にはほとんど原因がないということははっきりしている。そして現在のところ、彼らに対する有効な治療はないそうだ。したがって、彼らを変えようとするのはほぼ無駄な行為であろう。

 それよりも、私たちが「彼らの意のままにならない」ということが重要である。彼らは表面的な言葉づかいをし、嘘を平然と吐く。彼らに対処する方法には、むやみに近寄らない、言葉を鵜呑みにしない、重要な意志決定ができる立場には就かせないなどが考えられる。

 サイコパスは人当たりがよく、魅力的な人物が多いという。けれどもよく付き合っていくと、言葉に信憑性がなかったり、嘘や矛盾が多く見えたり、なんだかおかしな部分が見えてくる。そのような人物に本気で付き合うと、こちらが疲れてきたり、混乱したりしてしまうだろう。自分の心を守るためには、そういう人物と距離を置いても良いかもしれない。

文=ジョセート