どこにでもいる“嫌な人”ともうまくやっていく! 働く女子が身に付けておきたい人間関係術

暮らし

2018/5/9

『働く女子の人間関係術 社会人として人に接する42の常識』(福島哲史/CCCメディアハウス)

 人の悩みの9割は、人間関係にまつわるものといわれる。私たちは日々多くの人と関わり合いながら生きており、世の中には、人とうまくやっていくためのコツを指南するハウツーがあふれている。それだけ、多くの人に共通する悩みなのだ。どんなに外との関わりがなさそうに見える人であっても、人間関係がゼロの人は存在しない。

『働く女子の人間関係術 社会人として人に接する42の常識』(福島哲史/CCCメディアハウス)は、その他多くの本のように、人間関係を円滑にするためのハウツー本だ。違いは、小手先のテクニックではなく心構えを中心に説いているところ。人付き合いを上達させたいなら、積極的に人と会うことが大切だということだ。

 本書では、不思議の国のアリスをモチーフにした漫画で物語が進行していく。物語の冒頭では、人間関係に悩んでいた主人公は、人と関わり合いを避け、感情をできるだけ表に出さないようにしようと思っている。ところが、ひょんなことから不思議の国に迷い込み、自分の分身のようなハンプティ・ダンプティと話をするうち次第に考え方が変わっていく。

 人と出会うことが大切と言われると、多くの人と会わなければと考える人もいるかもしれない。しかし、本書では、どれだけ多くの人と会うかより「出会い」の質を重視する。「出会い」とは、物理的に人と会うことではなく自分の何かが変わるようなイベントである。質を高めるためには、まず自分自身に力をつけることが大切だ。相手に何かを与えることのできるような力。力というと、なんらかのスキルや紹介できる人脈と考えるかもしれないが、単純におもしろいと感じさせるだけでもいい。人に印象を与えるには、好感を持たれることも必須である。見た目の印象もあるが、まとう雰囲気、オーラのようなものでも印象づけることができる。何事も真剣に取り組む姿勢が、タダモノではない雰囲気を自然に作り出すのだ。

 短い時間で相手に自分のことを伝えるには、思っていることや、持っている情報を積極的に発信する表現力を磨くことも重要である。具体的には話す力や文章力、相手の興味関心に合わせた豊富な話題を提供できることなど。こうしたスキルは短期間では身につかないので、普段の心構え、過ごし方にかかっている。とにかく世の中を広く見る、情報に関心を持つ、情報を自分なりに選別するスタイルとスタンスづくりが大切だ。

 良好な人間関係作りのハウツーは、主に仕事で生かすものだと考えている人は多いかもしれない。ビジネスマナーは、ビジネスシーンで必要とされる行動様式をパターン化したものだ。パターン化することで物事を主観ではなく事実で判断できるようになる。そうすることで、不要な摩擦を避けることができるのがマナーのメリットだ。ビジネスの話は人からやってくるともいわれることをふまえると、確かに人間関係のハウツーの実践が仕事に役立つ場面は多い。しかし、それらは仕事の場面に限定されるものではない。ビジネスで培われた判断力や調整力などはプライベートでも存分に生かすことができるからだ。

 人とうまくやっていくためには、協調は欠かせない要素である。ただし、著者は協調や摩擦を避けるために、ことなかれ主義をよしとする姿勢は、人間としての成熟ではなく人生の放棄であるとしている。人間関係をよくしたいと願うのは、それによって仕事やプライベートを円滑にするため。もう一歩進んで考えると、それによって心の安定を得るためということができる。仕事は自らを成長させることのできる最適な場であると考えよう。ビジネスで常にバージョンアップが求められるのと同じように、心の安定も現状維持では得ることができない。一見逆説のようだが、安定を得るためにあえて変化を選ぶ。そうすればもっと人生は楽しくなる。本書との出会いが今後の出会いを変えるきっかけになるかもしれない。

文=いづつえり