仮想通貨の第2幕が始まる! その衝撃の未来とは…

社会

2018/5/9

『仮想通貨 金融革命の未来透視図 ブロックチェーンが世界経済に大転換を引き起こす』(吉田繁治/ビジネス社)

 仮想通貨投資で大もうけして億の資産を得た“億り人”なる人々が巷で騒がれた投資ブームを第1幕とすれば、本書『仮想通貨 金融革命の未来透視図 ブロックチェーンが世界経済に大転換を引き起こす』(吉田繁治/ビジネス社)は、第2幕の有力なシナリオを描いている。それは通貨としての本格的な流通と、その成り行きとして訪れる基軸通貨ドルの終焉や銀行の凋落というショッキングなもの。日本経済が過去に経験した超円高や金融機関の大リストラ時代の再来となるのかもしれない。

 仮想通貨の理解を深めるために、まず円やドルなど国が発行する通貨「法定通貨」を知っておきたい。著者は、法定通貨とは「価値を伝えるメディア」と捉えればよいと述べる。そのメディアの信用は、国家による財政の安定と中央銀行(日本では日銀のこと)による発行量のコントロール、偽造できない技術、流通・保管において誤りを起こさない金融システムによって裏付けられている。

 では金(ゴールド)はどうだろう。埋蔵量が有限で、かつ偽造ができないことは通貨と同じ条件を備えている。違いは国家や中央銀行、金融システムの信用付与がなくても、世界中の人々が紀元前よりその価値を認識していることだ。よって現在も価値を保つ実物資産として流通し続けている。

 この金の特徴である、有限であること、偽造できないこと、国家の信用が不要なこと、をモチーフにしたものがビットコインなど現在民間で流通している仮想通貨だという。デジタル・ゴールドと呼ばれる所以である。ブロックチェーンという技術により、金同様に埋蔵量が設定され、かつ偽造も不可能にしている。金との違いは、デジタルデータゆえにネット上で世界中の誰とでも直接交換ができることだ。

 仮想通貨が本格的に流通すれば、貿易の決済など国家間で使用される可能性さえあるという。もしそうなればドルの価値が大きく下落すると著者は予測する。米国の法定通貨であるドルは、基軸通貨(国家間の貿易に使われる通貨)の顔も持ち、その需要から価値が実質以上に押し上げられているからだ。米国国債を大量に保有する日本は大きな損失を被るし、個人も円高への備えをするべきだという。

 さらに著者は、国家もブロックチェーン技術を採用し、法定通貨をデジタルメディア化する方向であることを説く。国家が仮想通貨を発行すれば、スマホは銀行の預入口座の代わりになり、店舗のPOSはウォレットのアプリになり、送金もネットで直接行われることで完結してしまう。こうして銀行の存在理由のひとつであるリアルマネーの流通・保管機能が不要になれば、銀行の役割は融資機能くらいしか残らないという。情報を運ぶ各種メディアがネット時代に凋落したように、金融の世界も同様の荒波をかぶることが確定的というのだ。国家による仮想通貨は、エストニアなどタックスヘイヴン国から年内にも発行される計画だ。先進国が発行に踏み切れば利用者が一気に広がると著者は予測する。本書を読んで激変への備えをしておこう。

文=八田智明