急増中のMCバトル漫画。『デトロイト・メタル・シティ』作者の最新刊でもパンチラインが炸裂!

アニメ・マンガ

2018/5/12

『ライミングマン』(若杉公徳/白泉社)

 テレビ朝日で放送中の『フリースタイルダンジョン』が人気を呼ぶなど、大衆的な人気を広げつつあるMCバトル。マンガの世界でも、この1年ほどのあいだにMCバトルやラップを題材にした作品が急増中だ。

 サイプレス上野がラップの監修を手がける『サウエとラップ~自由形~』(陸井栄史/秋田書店)に、般若とR-指定が監修の百合ラップ・コミック『キャッチャー・イン・ザ・ライム』(背川昇/小学館)。さらには『め組の大吾』の曽田正人も『Change!』(講談社)という作品を発表しているが、マンガファンから特に熱い注目を浴びているのは、『デトロイト・メタル・シティ』の若杉公徳による『ライミングマン』(白泉社)だろう。

『デトロイト・メタル・シティ』でも、ヘヴィメタルのステレオタイプをネタにギャグ漫画を描いた若杉。『ライミングマン』でもラップやMCバトルのイメージを戯画化して活用している。

 1巻の第1話は、バスケのユニフォーム&ゴールドチェーンのゴツいネックレスという“いかにもラッパー”な父親が「ヨォヨォ これが今朝の献立 しっかり食えよこんだけ」と韻を踏みながら朝食を作る……という幕開け。コアなHIPHOPファンは眉をひそめそうな内容だが、逆に言えばHIPHOPのカルチャーに馴染みがない人も「ラップしてる人ってこんな感じだよねーw」と笑いながら読める雰囲気だ。

 物語では、おとなしい高校生の主人公・踏男が、コテコテなラッパーの父親と時に対立しながらラップに開眼。MCバトルに挑戦して名を上げつつ、クラスメイトの憧れの女子との恋も進展。親子の葛藤も、学校での恋愛も絡めたストーリーは王道中の王道だ。一方で、巻末のスペシャル・サンクスにはラッパーやMCバトル関係者の名前も。話を追うごとにラップの内容がこなれてきているのも心強い。

 またMCバトルの魅力は、本人の生き様や思いがストレートな言葉になること。そして、互いが信念をぶつけ合うなかで、心の奥底にある言葉が飛び出し、その応酬でアツいグルーヴが生まれることなどだが、最新刊の2巻ではそんな瞬間を捉えた場面も増えてきた。

 数学の授業でグラフィティ風の回答を黒板に書いたり、ラッパーの「YO!」的なポーズで拾った消しゴムを渡したりと、ステレオタイプすぎる描写は相変わらずで笑うが、「ラップはファッションじゃねえ パッションでやるんだよ」という熱いパンチラインも登場。一方で、「普段は口にできないようなヒドすぎる悪口(相手へのディス)が飛び出す」というMCバトルの面白さが、恋の悲劇につながる場面もあった。MCバトルの本質的な面白さを捉えつつ、それを笑いにもつなげた若杉公徳らしい青春ギャグ漫画と言えるだろう。

文=古澤誠一郎