料理に宗教、そしてテロ…トルコ好き漫画家がイスタンブールに住んでみたら

マンガ・アニメ

2018/5/8

『わたし今、トルコです。(ビームコミックス)』(市川ラク/KADOKAWA)

 トルコってどんな国だろう。トルコ人と思しきお兄さん達が車で売っているケバブは食べたことがあるけれど、案外そのくらいしかイメージが湧かなかったりする。トルコ。悪いイメージはあまりないのは、親日国としてのイメージが強いからなのか。謎めいた魅力があり、かといって距離的には遠いから、なかなか行けない。はるか西方、魅惑の国、トルコ。

 トルコが好きな漫画家、市川ラクさん。「トルコに関する漫画を描きたい。でも東京だと情報が少ない。ならば実際にトルコに住んでみよう」。そんな驚くべき行動力で実際にイスタンブール(トルコ最大の都市。歴史、経済、文化の中心地)に住むことになった彼女が、現地で生活しながらその様子を描き出した漫画『わたし今、トルコです。(ビームコミックス)』(市川ラク/KADOKAWA)は、トルコに興味を抱く者なら誰しも、今までより一層トルコを身近に感じることのできる漫画だ。彼女がイスタンブール生活で実際に経験したカルチャーショックやテロの現状、イスラム教の生活、トルコ料理など、住んでみないと分からないような“生のトルコ”を本書から学ぶことができる。

■トルコの物価は安い! しかし意外なモノが高い?

 東京生活ではカツカツだったという著者。トルコリラは下落が続いており(2016年12月時点)、野菜や果物は1kgあたり50~170円とかなり安く、外食や衣料も気軽に楽しめたという。また語学学校の授業料も日本と比べたら格段に安く、留学にかなり適しているのだそう。

 ただ、その国の物価というものには、住んでみないとなかなか分かりにくい盲点もある。トルコは絆創膏や歯ブラシといった日用工業製品の多くを輸入に頼っているため、それらには関税がかけられ日本よりも高値だったりするのだとか。物価が安いとは言っても、食品、工業製品、家賃、地価、交通費などの値段のバランスの感覚は、日本とはかなり違ってくるそうだ。本書で紹介されるこのような教訓は、トルコへの旅行のみならず海外への留学や移住を考える人にはかなり参考になるだろう。

■イスタンブールの宗教観

 トルコの最大の宗教はイスラム教だ。トルコ人はこう言うのだとか。

「イスタンブールは『イスタンブール国』で(=あまりにも宗教色が薄い)、スルタン・アフメット地区は『スルタン・アフメット国』だ(=あまりにもがめつい)」。

 ムスリム(イスラム教徒)が多いが、その宗教観は人それぞれ。イスラム帝国時代から「緩やかな統治」を受け継ぐトルコならではの宗教観の多様性は、我々の海外の宗教に対する固定観念を変えるようなものだ。

 本書には上にご紹介した物価や宗教観をはじめ、日常で起こるテロや食事、断水や停電、男女の接し方、結婚式の様子など、実際に住んでみないと分からないトルコの素顔が詰まっている。トルコへの渡航を考えている人にはもちろんのことだが、さまざまな価値観や異文化に触れるといった点で、多くの人にすすめたい1冊だ。

文=K(稲)