シリアス度が増す『ダンジョン飯』6巻で物語は新展開へ ラストは「○○の酒蒸し」で締め?

マンガ・アニメ

2018/5/12

『ダンジョン飯』(九井諒子/KADOKAWA)

 倒したモンスターを喰らいながらダンジョンを旅するという異色の設定、そしてその調理描写が本気過ぎ、また美味そうという妙なリアリズムもヒットの要因となり、数々のマンガ賞を受賞してきたのが『ダンジョン飯』(九井諒子/KADOKAWA)。

 巻を重ねるごとに多彩な食材(=モンスター)が登場してきたが、前巻となる第5巻では主人公・ライオスら一行の目的である「赤竜を倒し、喰われたライオスの妹・ファリンを蘇生する」ことにも成功。ついでに倒した赤竜もたらふく食し一行は大満足するワケだが、しかし甦ったファリンは迷宮を統べる謎の存在“狂乱の魔術師”に操られているようで……と、一気にシリアス度合いを増し、ファンを困惑させていた。そして最新第6巻でもこの傾向は引き継がれ、なんとキメラと化したファリンとの壮絶なバトルに発展!

 本作の読みどころでもある“飯要素”も序盤は控えめ(そのため調理担当のドワーフ・センシは影が薄い)で、前巻終盤で入手した「コカトリスの卵」を使い卵焼きを作った程度。それを食すのは、ライオスに何やら良からぬ思惑を抱えているらしき冒険者・カブルーなのだが、ドン引きしつつ怪しまれないために無理やり口に含む描写で「あ、やっぱモンスターを喰うのはこの世界でも普通じゃないのか」と改めて気付かされる。

 このカブルー一行や、元仲間にして今は自らパーティーを率いファリン救出に出向いてきた侍・シュローとその一行など、これまでバラバラに行動していたキャラが一堂に会してそれぞれの個性を見せるあたりも読みどころだが、これは読者にとっても「ライオスはおかしい」と再確認させるための仕掛けにもなっている。その最たるのがモンスター化したファリンが一行の前に姿を現したシーンで、彼女を見た瞬間ライオスはこう言い放つのだ。

「すごくかっこいい……」

 重度のモンスター好きが高じてモンスター食へと走ったアブノーマルなキャラとはいえ、命がけで助けた挙げ句に操られ敵対し、モンスター化までした妹を見ての第一声がコレである。こうまでネジが外れたライオスの性格自体が、何か物語終盤で鍵を握る伏線となっているのではないか、などと深読みもしてしまう展開だ。

 さて、シリアス度合いを増し続け、なにやら別作品となってしまったかのようではあるが、“ファリン事件”が落ち着き再びダンジョン探索が始まると、以前と同様にまったりとした展開に。終盤ではエルフの魔術師・マルシルを悩ませる、あるモンスターを食材に「○○の酒蒸し」(ネタバレ防止のため伏せる)も作られる。そのモンスターもファンタジー系ではメジャーな存在ながら、一般的にイメージさせられる姿形とは全く違い、「そう解釈したのか!」と膝を打たされる意外さがあるのだが、そこは読んでのお楽しみに。

 シュロー一行から足抜けしてきた新たな仲間も加わり、ファリン奪還のためにダンジョン深部を目指すライオス一行。ファンタジーものとしての面白さは巻を追うごとに増しているのだが、次巻ではモンスター食の方面をもう少し増やしてほしいというのも、ファンであれば偽らざる気持ちかもしれない。

 しかし、不眠不休で進んできたシュローに向かいこう言い放ったライオスであれば、今後も食に手を抜くことはないだろう。

「1日3食しっかり食べて 睡眠を取っている俺たちのほうがずっと本気だ!」

 モンスター食に対する邪念も感じるが、本人的にはしごく真面目に言っているのであろうこの言葉は、現実世界でも通じる至言でもある。

文=佐藤圭亮