濃すぎる人間関係で消耗してない? これからは「弱い関係」を活かしてみよう

暮らし

2018/5/14

『広く弱くつながって生きる』(佐々木俊尚/幻冬舎)

 就職した学生時代の知り合いと飲んでいると「今度の週末、上司からBBQに誘われてるんだけど、正直行きたくないよ…」といった愚痴をよく聞く。勤めている業種によって差はあれど、日本の多くの会社では社内の「強いつながり」が重視されており、特にこの時期の新入社員は、そのための飲み会やイベントに奔走している。さらに、社員寮に入ることになれば、終業後、さらには土日にも会社の人たちと顔を合わせることになる…。確かに、ひとつの会社に“人生を捧げる”ことが当たり前であった時代には、こうした「強いつながり」には大きな意味があった。

 しかし現在、一企業がずっと存続する保証はなく、会社員個人にもリスクヘッジが必要になっている。既に現在副業をして本業とは別の収入を得たり、数年後の転職を見据えて動いている人もいるだろう。そんな時代に「強いつながり」で消耗する必要はない。むしろ「弱いつながり」を「多く持つ」方が生きやすくなる――そう提案するのが『広く弱くつながって生きる』(佐々木俊尚/幻冬舎)だ。

■「弱いつながり」のメリット

 ここで言う「弱いつながり」とは、家族や同僚などの「強いつながり」とは違い、自分のあまり知らない業界にいる人や、頻繁には合わない友人、ネットで知り合ったちょっとおもしろい人、くらいの距離感である。こうした人々との「弱いつながり」のメリットは、端的に言えば得られる情報の幅が広がることだ。家族や近しい同僚は、自分と多くの時間を共有し、同じような環境で生活している。そのため、「自分も相手も共通して知っていること」が多くなるため、その関係性から新しい情報を得るチャンスが少ない。

 それに対して、「弱いつながり」にある人たちは、自分と違う環境や背景を持っているから、それだけ自分の知らない情報をもたらしてくれる、というわけだ。こうした情報は、転職や副業などの新しい仕事や、人生における新しい楽しみに繋がっていきやすい。

■「弱いつながり」を育てるノウハウ

 では、こうした「弱いつながり」を意識的に作っていくには、どうしたらいいのだろう。著者は、まずは興味のあるボランティアやサークル活動などに参加し、そこから交友関係を広げていくことがおすすめだという。さらに、そこでポイントになるのがFacebookなどのSNSだ。たとえばSNS上では参加自由のイベントがたくさん告知されているし、そこで知り合った人とSNSを通じて知人同士になっておけば、その後も関係を自然に継続させやすい。その人の日ごろの投稿や、友達欄の雰囲気から、ある程度の人となりもわかる。それを繰り返したり広げたりしていくことで、芋づる式に多くの人々と「広く弱く」繋がれるのだという。

 本書ではこうしたノウハウの他にも、現在フリーのジャーナリストとして働く著者の実体験に基づき、作り上げた「弱いつながり」のメリットを自分の仕事に落とし込むテクニックや、「強いつながり」の代表である夫婦の関係性をフラットに保つ方法についても語られている。上司との飲み会なんて「たまに」でいいから、「弱いつながり」を活かして自分の新しい可能性を見つけにいこう。

文=中川 凌