【中学受験】受験勉強は何年生からスタートすればいい?

出産・子育て

公開日:2018/5/15

『中学受験を考えたときに読む本』(矢萩邦彦/洋泉社)

 中学受験は、子どもはもちろん、支える家族にとっても大きな挑戦となる。もしわが子が中学受験をするなら、何歳から塾通いを始めればいいか、どの程度の規模の塾がベストなのか、サポートする保護者としては知りたくなって当然だ。

『中学受験を考えたときに読む本』(矢萩邦彦/洋泉社)は、中学受験指導における複数のプロフェッショナルが中学受験の心構えや考え方、テクニックなどを語っている。プロフェッショナルごとに多様な考え方を披露しているが、中学受験の幅広い悩みや疑問に答える一冊となっている。

 受験勉強は何年生からスタートするのが理想か?

advertisement

 3・4年生頃から受験勉強を始めるのがいいとよく聞くが、本書も「4年生からの3年間がちょうどいい」としている。子どもの成長上のメリット・デメリットを考えると5年生からの2年間で合格できるように力をつけるのがベストのようだが、近年の過熱する中学受験ブームの中で手堅く合格を勝ち取ろうとするならば、4年生からの3年間で力をつけるのが無理がないそうだ。ちなみに、受験勉強に耐え得る力は、3歳からの基礎学習で着実に養っていくのがベターだという。

 では、4年生から受験勉強を始めるとして、どの程度の塾に通うとよいのだろうか。

 本書によると、塾の規模によって、特徴がある。

 まず、大手塾は「コスパがいい」という。

子どもの学習に対する負担感や同じ成果を上げるうえで必要な時間数が、大手塾を使ったほうが結局効率的で少なくて済むということです。

 生徒数が多いため、頑張り次第では、自分と周囲の比較で成長が実感でき、急成長も可能だとしている。

 では、中小規模の塾はどうだろうか。

集団のなかで息苦しさを感じやすい子や周りの目線が気になってしまいやすい子、常に褒めてあげないと気持ちが折れやすい子の場合、中小塾のほうが頑張りやすいでしょうね。

 こういった特性の子どもには中小を勧めている。また、大手塾ではクラスが変われば先生が変わるが、中小塾では変わらず一貫して見てもらいやすい。ただし、塾側が子どもに過度の思い入れを持ち、子どもががんじがらめにされ、受験勉強自体に窮屈さを感じる恐れも比較的高いという。

 ところで、受験勉強の選択肢は塾に通うのみではない。家庭学習について、専門家はどう考えているのだろうか。

 本書は、条件付きながら合格は可能だとしている。

ご家庭が、受験に何が必要なのかをわかっていて、しっかり覚悟したうえで始めるのなら、という条件付きです。

 この条件のもとで、さらに2つのハードルが課せられる。

 1つ目は、塾では任せておける「学習目標の設定と管理」を自分たちでやる必要があること。2つ目は、クオリティが平均値である「市販教材」の組み合わせでは、塾が提供するメニューに質・量とも敵わないため、不足分を自分たちでかき集める必要があること。家庭学習の場合、Z会などの通信教育を利用するのも有効な手段であると推奨している。

 本書には、保護者ができるマネジメントや、中学受験で後悔しないために必要なことなどについても、厚くまとめられている。子どもにとっては一度きりの挑戦。本書がきっと、後悔のない中学受験の扉を開いてくれる。

文=ルートつつみ