「尊すぎて死亡」——『ひだまり』『まどマギ』の蒼樹うめ最新作にファン歓喜!

マンガ

更新日:2018/5/21

『微熱空間』(蒼樹うめ/白泉社)

 日常系4コマ漫画『ひだまりスケッチ』(蒼樹うめ/芳文社)やTVアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」のキャラクター原案で知られる蒼樹うめ先生の新シリーズが始動し、ファンからは「かわいすぎるっ!」「大好物だわこれ!!!」と話題になっている。タイトルは、『微熱空間』(蒼樹うめ/白泉社)。2014年から年3回刊行されるコミックアンソロジー『楽園 Le Paradis』に少しずつ連載されていた作品で、先日ついに待望(2年ぶり!)の第2巻が発売された。

 うめ先生といえば、『ひだまりスケッチ』のように“女の子だけの日常”をとても優しく描くイメージがあるが、なんと『微熱空間』はストーリーもので、甘酸っぱい男女の同居ラブコメだ。

 高校2年生の主人公・赤瀬川直耶は、母親の再婚で「お姉ちゃんができる」と聞かされ、年上のキレイなお姉さんに期待に胸を膨らませていた。しかし、現れたヒロイン・中ノ瀬亜麻音は自分とは誕生日が3日しか違わない同い年。とはいえ、はじめは苗字でよそよそしく呼び合っていたふたりも、「家族」として生活を共にしているうちに、ちょっとしたすれ違いを乗り越えていき、お互いを大切な存在だと思えるようになっていく。しかし、それは思春期の男女にとっては「恋愛感情」と紙一重のもので…というもどかしさがたまらないストーリーだ。

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 そして、そんなふたりの関係にスパイスを与えるのが、亜麻音と同じ女子校に通う親友・九条郁乃の存在。亜麻音に同級生の弟ができたと聞きつけると「高2の男子なんて飢えた狼みたいなもんじゃない」とさっそく偵察にいき、直耶の姿をみて「あれは『弟』じゃなくて『男』」と寂しそうに心の中でつぶやく。そう、郁乃は亜麻音のことが好きなのだ。

“家族”と“同性”。亜麻音の周りにあるこのふたつの壁は、果たして破られるのだろうか。2巻では、亜麻音が離婚した元母親から食事に誘われ、自分の過去と向き合うことになる。直耶は自室に引きこもる亜麻音を慰め、“家族”としての繋がりを深めていくが…。もはや“微熱”どころではない展開に、読者のほうが熱にあてられてしまいそうだ。

文=中川 凌