「果汁100%ジュースは体に良い」は科学的に正しい? データで読み解く究極の食事

食・料理

2018/5/16

『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介/東洋経済新報社)

 私たちは、自分が健康であるために「体に良い食べ物」と「体に悪い食べ物」を意識して生活している。しかし、この「良い」や「悪い」の基準はどこからきたのだろう。よく考えてみると、その根拠は、「テレビで医者が説明していた」とか、「親が昔からそう言っている」といった曖昧なものだったりする。本書『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介/東洋経済新報社)の著者は、そうした情報の多くが「科学的根拠にもとづいておらず、間違ったものも多い」と警告している。例えば、「科学的根拠のない健康情報」として、以下のようなものがあるという。

・炭水化物は健康に悪く、食べると太る。
・βカロテンやリコピンは健康に良い。
・果汁100%のフルーツジュースは健康に良い。

 この3つの例を見て、「え、それは正しいんじゃないの?」と思った人は、要注意かもしれない。私自身も、親から「果汁100%は体に良い」と教えられ、これまでがぶがぶ飲んできたから、これは驚きだった。

■果実は糖尿病を予防するが、フルーツジュースは糖尿病のリスクを上げる

 現大阪大学の木村功氏によって発表された論文は、果実をとっている人ほど糖尿病のリスクが低いことを統計的に明らかにしている。しかし、フルーツジュースを飲んでいる人は、逆に糖尿病のリスクが高いという研究結果もあるというのだ。英国ケンブリッジ大学の今川文昭氏の研究によれば、フルーツジュースの摂取量が1日あたり1単位多い人ほど、糖尿病のリスクが7%高くなると報告されている。その原因は科学的には証明されていないが、著者は、「フルーツジュースには、血糖値の上昇を抑える食物繊維が含まれていないからではないか」と説明している。

■どうすればより正しい情報を得られるのか

 著者は、こうした健康情報を得る際に、エビデンス(=科学的根拠)のレベルを確認することが大切だという。医学研究には、大きく分けて以下の2つの研究手法があり、一般にランダム化比較試験のほうが、エビデンスが高い(=科学的に信頼できる)とされている。

1.ランダム化比較試験…研究対象となる人を、くじ引きのような手法を用いて2つのグループが全く同じになるように分け、片方のグループだけに健康に良いと思われる食品を摂取してもらい、もう片方のグループには接取してもらわないでいてもらう方法である。

2.観察研究…ある集団における食事に関するデータを集めてきて、特定の食品をたくさん接取しているグループと、あまり接取していないグループを見つけて分析する。何年後かに、この2つのグループのそれぞれで病気になっていたり死亡していたりする割合を評価する。

 さらに、ランダム化比較試験よりも信頼できる「最強のエビデンス」として「メタアナリシス」という研究手法が存在する。その詳しい説明は本書を読んでいただきたいが、こうした研究手法に着目することで、ある程度自分で情報の信頼性を分析できるようになる。

“究極の食事”という提案をただ鵜呑みにするだけでなく、読み進めながらその根拠を精査していくことで、あなたの情報判断能力は格段にあがるはずだ。

文=中川 凌