2分で子どもをやる気にさせる?! 褒め育てのコツがわかる「ペップトーク」

出産・子育て

公開日:2018/5/17

『スクール・ペップトーク』(岩崎由純/学事出版)

 例えば、わが子の初ピアノ発表会のとき。不安がっている子どもにどのような言葉をかけるべきなのだろうか。

『スクール・ペップトーク』(岩崎由純/学事出版)が、言葉掛けの参考になるかもしれない。本書は、学校で使えるペップトーク術を紹介しているが、家庭でも応用できそうだ。

 ペップトーク(PEPTALK)とは、「激励演説」のこと。朝礼での校長先生の励ましの言葉、部活での試合前の先生の「頑張って行っておいで」、受験生を送り出すときの激励の言葉、などがペップトークに当たる。

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 本書によると、ペップトークの特徴は長くても2分と「短い」こと、「分かりやすい言葉」を用いること、「肯定的な言葉」で相手の感情に訴えること。

 本書の例を見ていきたい。ピアノ教室の先生が、初めてのピアノ発表会を前にした生徒に話す。

 ペップトークとは真逆の効果を与える、悪い例から。

あれ、あなた、手が震えてるの? この程度の発表会でそんなにびびっていたら、今日までのお稽古、練習、全部無駄になるよ。今日、本番でちゃんと弾けないなんてことして、私の顔に泥を塗ったら発表会に出しませんよ。他にも出たいっていう子はいくらでもいるんだから。もうしっかりしなさい! ミスしたら絶対に許しませんからね。

 厳しい先生だ。本書によると、この言葉掛けは、生徒の存在も行動も結果も否認している。

 では、ペップトークでは、どのように言い換えられるのだろうか。まず、生徒の「事実を受け入れ」てやり、安心させる。次に、これから行なわれる事実を「とらえ方変換」し、別の表現に言い換えてやる。そして、「して欲しい変換」で、生徒にしてほしいことをそのままイメージできる言葉で伝え、最後に「背中のひと押し」でやる気にさせる。

不安を抱えている生徒に、その事実を否定して突き放すと、不安感が増す。
【事実を受け入れ】、事実と不安を共有化する。

あなた手が震えているのね!
大丈夫、先生もそうなったことあるの

 ↓

【とらえ方変換】は、柔軟で肯定的な発想力が必要だ。生徒が「なるほど」「確かに」と思える発想の転換を伝えたい。

それはね、あなたが本気になった証拠なの!
今日まで一生懸命練習してきて最高の演奏をしたいって本気で思っている証拠!

 ↓

人は、「してはいけない」という否定的な言い方より、「して欲しい」という肯定的な言い方に心が動かされやすいという。【して欲しい変換】で、生徒に対する願いを率直に伝える。

本気になればちゃんと弾けるっていつも言ってるよね!
あなた自身の本気を信じて

 ↓

【背中のひと押し】で、勇気を与えることで、物事が達成されやすくなる。

さあ、いってらっしゃい!
本気で弾いておいで!

 2分以内にこの構成で生徒の感情を喚起できれば、ペップトークは成功だという。

 褒め育ての効果がいわれているが、どのように褒めるかは、案外難しい。本書に掲載されたペップトークの考え方、構成の仕方、言葉の変換のコツなどを知ることで、褒め方に困るシーンでも、子どもをやる気にさせることができるようになるはずだ。

文=ルートつつみ