ネットで炎上を起こす人の心理とは…イケメンコンサルからネット社会の実情を学ぶ

文芸・カルチャー

公開日:2018/5/18

『火の中の竜 ネットコンサルタント「さらまんどら」の炎上事件簿(メディアワークス文庫)』(汀こるもの/KADOKAWA)

 インターネットのどこかでは、毎日のように誰かが“炎上”している。最近だと、再生数を稼ぎたいユーチューバーの過激な動画が叩かれたり、女性に関する企業の広告が「女性蔑視だ!」と批判されたり…というパターンをよく見る。

 この記事を読んでいる人の多くは、こうした炎上をどこか“対岸の火事”のように思っていないだろうか。しかし、先ほどの企業広告の例のように、そこに悪意や犯罪性がないのにもかかわらず、ネットで猛烈に叩かれてしまうこともある。オープンなネットの世界で何かしらを発信している人にとって、炎上はいつ自分の身に降りかかってもおかしくないことだ。

 そうはいっても、ネットに慣れていない人なら「どんなことを言うと炎上してしまうのかわからない」というのが本音だろう。そんな人におすすめしたいのが本書『火の中の竜 ネットコンサルタント「さらまんどら」の炎上事件簿(メディアワークス文庫)』(汀こるもの/KADOKAWA)である。登場するイケメンたちと、ネット社会の実情を学ぶことができるエンタメ小説だ。

 舞台はインターネットよろず相談所「さらまんどら」。そこに所属するのは、車いすの所長・オメガ(もちろんハンドルネーム、表紙の右側にいるイケメン)をはじめとする、“炎上コンサルタント”たち。彼らはネット上の“炎上案件”に喜々として介入し、華麗に解決していく。語り部である「ぼく」(左側のイケメン)は、パソコン教室の先生で、ある事件をきっかけに「さらまんどら」に出入りするようになる。

 ある日、「ぼく」は、生徒である蕎麦屋の源造さんから「店のホームページが大変らしいんだよ」と相談を受ける。調べてみると、源造さんの孫がホームページに書きこんだ“蕎麦アレルギー”に関する不謹慎な書き込みから、32万アクセスにものぼる大炎上が発生していた。メールや電話で苦情がくるだけではなく、ついには店の看板にまで被害が出てしまう…。既に直接の関係者には謝罪をしていたが、32万人の“関係ない人たち”も納得させなくてはならない。そんな中、オメガが取った非常識な手段とは…。

 その他、なぜか他人の夢日記をパクる人や、ネット上で行われるいじめ、Twitterで男子小学生と仲良くなろうとする変態…など、実際にありそうな事件が登場する。どんな発言や行動が炎上しやすいのか、ネットで炎上を起こす人たちはどういう心理なのか、もし万が一炎上してしまったらどう対処すればいいのか。自分を守るためにも、楽しみながらネットリテラシーを学んでみてはいかがだろう。

文=中川 凌

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