英和辞典よりも「英英辞典」を活用せよ!「ネイティブが正確に理解してくれる英語」を身に付けるコツ

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2018/5/21

『理系のための「実戦英語力」習得法 最速でネイティブの感覚が身につく(ブルーバックス)』(志村史夫/講談社)

 近年、ノーベル賞を受賞した日本人が、英語でスピーチを行ったり、インタビューに応えたりしている様子を目にする機会が増えている。世界的に活躍している人に授与される賞なので不思議ではないのかもしれないが、それほどの英語をどのようにして習得したのだろうか? 理系の研究者は、受賞に至る過程で数々の英語論文を発表しているが、そのためには英語の読み書きの能力も重要だ。

 実際に、理系の分野にいる方で、日々、英語と格闘している方もいるのではないだろうか。経験を積んで慣れても、理解するのに時間がかかったり、解釈を誤ったりすることがあるかもしれない。

 そこでオススメしたいのが『理系のための「実戦英語力」習得法 最速でネイティブの感覚が身につく(ブルーバックス)』(志村史夫/講談社)だ。物理学者でもある著者の志村史夫氏は、アメリカで研究・教育に10年以上携わった経験を持つ。本書では、志村氏が英語力向上のために行ってきた方法を、特に読み書きに焦点を当てて解説する。

■「英英辞典」の活用

 本書によれば、欧米人とコミュケーションがとれるような英語を習得するために必須なのは、英英辞典。原則として英和辞典は使わない。英和辞典では、その言葉の持つ本当のニュアンスまで理解できないことが多々あるためだ。著者が実際に体験したことだが、アメリカ人の友人と「黒っぽい岩がゴツゴツと折り重なった岩山」へ遊びに行った時に、友人はそれを「desert」と呼んだ。しかし、著者が使っていた英和辞典には「desert=荒野、砂漠」と書かれていたので、岩山とdesertが結びつかず違和感を覚えたそうだ。そこで、英英辞典でdesertを調べてみると、定義が「水や木がない荒地」であることが分かった。「砂で被われた」は、補足的な要素なのだ。筆者もオンラインの英英辞典で調べてみたが、同様の定義であった(Oxford Learner’s Dictionary)。つまり、岩だらけのゴツゴツした風景は、まさにdesertだったというわけだ。

■“理系の文章”に求められる条件

 英英辞典を活用して単語のニュアンスを正しく理解しても、それだけで優れた文章が書けるわけではない。本書では、“理系の文章”に求められる条件を、以下のように定義している。

(1)論理が明快であること
(2)文意が一義的である(誤解の余地がない)こと
(3)専門用語以外は日常語を用い、なるべく短い文で構成されていること
(4)事実と推測、自分の意見と他人(一般)の意見が明確に区別されていること

 これを心がけながら、英語を組み立てていく。その際、冗長表現は可能な限り簡潔な一語に置き換えることも重要だ。例えば、「a small number」は「few」に置き換えが可能。本書には、他にも様々な例が収録されているので、ぜひ参考にしていただきたい。

■「読解力」強化法

 英語を読んで理解する力は、どのようにして強化すべきなのだろうか。著者が定義するのは、以下の3つ。

(1)英語以前に、その分野の知識を充実させること
(2)語彙(vocabulary)を増やすこと、つまり、単語力を強化すること
(3)英文を考えながら多読し、英語の構造に慣れ、英語の感覚を身につけること

 知らない単語があっても、内容が分かっていれば読み進めることができるし、語彙が増えれば読む力は向上する。そして、自分の分野の英文を“考えながら”多読することで、必要な語彙を増やすことができる。具体的な方法も紹介されているので、興味のある方は本書でご確認を。
 専門知識があるとはいえ、外国語である英語を理解して、英語でコミュニケーションをとるのは簡単なことではない。本書には、基本的な英語力があればすぐに実践できる方法が多数紹介されているので、理系英語の上達に役立つこと間違いなし。限られた時間の中で最大のパフォーマンスを引き出すために、活躍の場を世界に広げるために、多くの方にオススメしたい一冊だ。

文=松澤友子