「晴れ」と「くもり」の境界線はどこ? 誰かに話したくなる理系雑学

暮らし

公開日:2018/5/24

 テレビやネットのニュースには、必ずといっていいほど「理系」に関連する記事や情報が日々取り上げられている。これは何を隠そう、「理系の話題」は我々の好奇心を否応なく駆り立てると共に、モノや医療、食など、いずれもが「サイエンス」を土台に成り立っているというまぎれもない事実があるからなのだ。この春刊行された『人類なら知っておきたい 地球の雑学』(KADOKAWA)は、思わず誰かに話したくなる、そんな「理系雑学」をふんだんに収録した一冊だ。


 今回の記事では、いよいよ梅雨(つゆ)へと向かっていくこれからの時期、いつも以上に気にするであろう「天気」にまつわるとっておきの雑学を紹介しよう。

■「晴れ」と「くもり」

 天気予報では「晴れ」だったのに今日はけっこう雲があるなあ、と思ったことはないだろうか。そんなとき、天気予報が外れたように感じる人は多いかもしれないが、そもそも「晴れ」と「くもり」の区別はどのようにつけているのだろう。

advertisement

 これは別に、天気予報が外れたわけではない。気象庁では「雲量」で天気を判別しているのだ。雲量とは「空全体を雲が占める割合」のことで、目視で空全体を10とし、どのくらいの割合が雲で覆われているかを「0~10」の11段階で示すものである。

 空のどこかに雲がかたまっていても、全体に散らばっていても、割合には変わりなく、雲量が0~1なら「快晴」、2~8なら「晴れ」、9~10なら「くもり」となる。つまり、「快晴」というと「雲一つない」イメージがあるが、空の1割程度なら雲が出ていても「快晴」になるのだ。

写真:shutterstock

「晴れ」の幅は広く、雲量が8もあったら「くもり」なのではとも思うが、実際には8割程度の雲量なら「晴れ」と感じる人が多いのだという。また、太陽が出ているかどうかによってもかなり印象が違う。どんよりと厚い雲が広がって太陽を覆っていると「くもり」のように感じるが、雲量が2~8なら、それも「晴れ」なのだ。

 あまり知られていないが、「くもり」にも、「くもり」と「薄ぐもり」の区分があり、これは、空を下層・中層・上層の3段階に分け、どの層に雲が多いかによって判断している。「くもり」は「雲量が9以上で、中・下層の雲が上層の雲より多い場合」。「薄ぐもり」は「上層の雲が中・下層の雲より多い場合」で、薄い雲を通して影ができることが多く、予報では「晴れ」として扱われるという。

■雨の強さや量とは関係ない「降水確率」

 天気予報で「今日の降水確率は20%」と聞くと、「雨が降ってもたいしたことないな、傘を持っていくのはよそう」などと思いがちだ。しかし「降水確率」は、雨の強さや降る量、降り続ける時間などとは実は関係がない。

 気象庁が発表している降水確率とは、ある地点で1ミリ以上の雨または雪が降る確率のことで、気圧配置など、過去の同じような大気状況の際、どのくらいの比率で雨が降ったかをもとに算出している。 

写真:shutterstock

 少しややこしいが、これは野球のバッターの打率に置き換えるとすんなりわかる。100回打席に立ったバッターが安打を30本打っていれば、30÷100=0.3で、打率は3割となる。だがその安打とは、ラッキーな当たりの内野安打でも、場外ホームランでも、同じ「1安打」として記録されているのだ。

 降水確率も、1ミリの小雨だろうが強烈な集中豪雨だろうが、同じ1回の降雨として数え、それをもとに算出しているのだ。

 たとえ降水確率が0%でも、まったく雨が降らないと考えてはいけない。降水確率は四捨五入した10%刻みで発表されるため、4%でも降水確率は0ということになる。

 気象庁は、1959年に日本で初めて科学計算用の大型コンピューターを導入した官公庁だ。その後、気象衛星による正確な観測データが得られるようになったこともあり、1980年から降水確率の発表を開始した。降水確率が大きく外れたのは年間30日以下というから、だいたいは当たっていることになる。

 集中豪雨など、強い雨が降る可能性があるときはそれも発表されるので、降水確率だけで判断しないようにするといいだろう。

『人類なら知っておきたい 地球の雑学』
雑学総研/KADOKAWA

思わず誰かに話したくなる「理系のウンチク」を212話収録した一冊。仕事で家庭で、日々のなにげない「雑談」に必ず役立つ理系ジャンルネタが存分に楽しめる。これはもはや、「理系テーマ」を超えた「地球テーマ」の雑学だ!