関節の「ポキポキ」という音の正体は…誰かに話したくなる理系雑学

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更新日:2020/5/7

 日々、ネットや各種メディアに踊る情報には、ほとんどといってよいほど「サイエンス」、つまり理系にまつわるものが含まれる。これは、「理系の話」は我々の好奇心を刺激するのはもちろんのこと、モノや医療、食など、そのどれもがサイエンスをベースに成り立っているという実態があるからにほかならない。この春刊行された『人類なら知っておきたい 地球の雑学』(KADOKAWA)は、思わず誰かに話したくなる、そんな「理系雑学」をふんだんに収録した一冊だ。


 今回の記事では、我々の体、つまり「人体」にまつわるとっておきの理系雑学を紹介しよう。ふだんは意識したりしないけれど、誰もがみな「そもそもなんで?」と思っていることに違いないはずだ。

■関節はなぜ「ポキポキ」と鳴るのか?

 映画やドラマでは、ケンカの前に指や腕の関節をポキポキ鳴らして相手を威嚇するシーンがよくある。ふだんの生活でも、退屈したときに指を引っ張ったり、急に屈伸したりすると関節が鳴ることがあるが、「ポキポキ」というあの音は、そもそもなぜ鳴るのだろうか。

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写真:KADOKAWA

 ずばり、ポキポキというあの音は「気体が弾ける音」である。

 関節のつなぎ目は「滑液」という液体で満たされ、関節包でくるまれている。滑液は卵白状の粘性のある液体で、タンパク質やヒアルロン酸を含み、関節の摩擦を最小限に抑え、スムーズな動きができる役目を担っている。

 指を引っ張ったり、急に関節を曲げたりすると、関節のつなぎ目は引き離されるが、滑液の量はそのままなので関節包内の圧力が一気に下がる。すると滑液の中には、二酸化炭素などのガスが生じて気泡ができる。液体には、密封された状態で圧力が下がると、中から気体が発生するという性質があるのだ。そして、さらに関節が引き離されると、この気泡が一気に移動して弾けてつぶれ、ポキポキと音が鳴る。

 一度鳴らした関節を、続けて何度も鳴らせないのは、ガスがまた滑液に溶けるまで数10分かかるためだ。

 面白がって関節を鳴らしていたら、「体に悪いからやめなさい」と叱られたことはないだろうか。体に害があるかどうか実証されたことはないが、気泡が弾ける瞬間は、小さな面積に1トン以上ものの力が働くといわれるので、関節の組織を損なう可能性もある。やはり、ほどほどにしておいたほうがよさそうだ。