50点家事で、みんなが幸せ! “効率化戦略”を活かした家事術とは!?

暮らし

公開日:2018/6/2

『50点家事 めまぐるしい毎日でも暮らしが回る』(サチ/ワニブックス)

 SNSなどを見ていると、家事を完璧にこなし、余裕ある生活を送っている人の投稿を多く目にする。そして自分の生活と比べて落ち込み、「私ももっと完璧にこなさなくては」と実力以上のことをしようと意気込んでしまう。しかし、そんな無理をした生活を続けられるはずがなく、結局は元通り。それならば、最初から無理して100点の家事を目指すのではなく、50点の家事を安定して続けた方がいい。それが、この『50点家事 めまぐるしい毎日でも暮らしが回る』(サチ/ワニブックス)の考え方だ。

 本書の著者である整理収納アドバイザーのサチさんは、元々は家事が苦手だったそう。しかし自分は家事の達人にはなれないと認め、システムエンジニア時代に培った「効率化戦略」で日々の負担を減らしたことで、“安定した暮らし”を手に入れたと語っている。大切なのは、SNSではなく家族からイイネ!をもらうこと。当たり前のことだが、SNSでキラキラした生活を見せる人が多い今、意外と忘れてしまいがちだ。では、効率化戦略とは、具体的にどのような戦略なのか。

 ざっくり説明すると、「ついで」「ながら」「すき間」でタスクを減らし、家事をピース化して家族で分担することで、 “わざわざ家事をする“という手間を極力省くのがこの本のやり方。例えば、野菜をまとめて切り、調理も一気に行い、冷凍作り置きおかずをストックしておく。こうすることで、毎回毎回野菜を洗って切る手間がなくなり、忙しい時でも少ない負担で栄養のある食事ができる、という算段だ。

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▲著者のサチさんが実際にやっている、冷凍作り置き

 ほかにも、歯磨きをしながら洗面所を掃除するなど、とにかく仕事を溜め込まないように、無理のない形で先に先に処理している。

 そして整理整頓という面でも、100点ではなく50点を目指す。特に子どもがいる場合、子どもに大人目線の整理整頓を求めるのは酷というもの。見た目では多少劣っていても、年齢に合わせて大まかな分け方で片付けさせた方が、親としても細かいことを気にする必要がなく、家事として総合的に見ると高得点が狙えるのだ。

▲入園前の子どもの部屋は、視覚的に分かりやすくカラフルに

▲入園後の子どもの部屋は、衣装ケースに統一してすっきりと

 こういった適切な手の抜き方、適切な効率化を習得すれば、50点家事でも快適に暮らすことができる。つまり本書では、家族の暮らす「家」という空間を家族全員で分担管理し、みんなで50点を目指すことで、イライラせず楽しい暮らしができるというwin-winの家事を提案している本なのだ。

 ブラック企業が問題視されても、常に完璧を求める「ブラック家事」の存在は、「子どもや家族のためでしょ」と強制されてなかったことにされがち。しかし親だって誰だって、自分の時間は必要なもの。この本を読むことが、家事をする人間にも休みは必要という「ホワイト家事」への第一歩に繋がるのでは?と、私は強く感じている。

文=月乃雫